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「学生Web3&Metavers超会議 第3弾」イベントレポート

Iolite 編集部
2023/05/28

WeCreate3が規模を拡大して開催

「学生からWeb3.0・メタバースをマスに広めたい」という想いと目的から活動を行っている学生団体「WeCreate3(ウィクリ)」が27日、東京・港区のアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京で「学生Web3&Metavers超会議 第3弾」を開催した。


本イベントは、「Web3.0及びメタバースについて初心者でもわかりやすく」という点に重きを置いて実施。Web3.0・メタバース領域を代表する起業家らのセッションや、自民党デジタル社会推進本部本部長代理でweb3PT座長も務める平将明衆議院議員による講演、そして同氏と学生によるセッションなどで構成された。


正しい知識を発信する意義。そしてWeb3.0成長の重要性

▶︎OKCoinJapan・八角氏

▶︎ナナメウエ・石濵氏

イベントはWeCreate3代表の雨蛙氏による挨拶からスタート。「学生からWeb3.0とメタバースの正しい知識を発信する意義」について語る雨蛙氏の言葉には熱がこもっていた。

続くメインスポンサーによる挨拶では、国内暗号資産取引所OKCoinJapanのCOOである八角大輔氏、バーチャルワールド『Yay!』を提供する株式会社ナナメウエ代表取締役の石濵嵩博氏が登壇。それぞれ自社サービスや今後の展望を交えながら、Web3.0領域の成長の重要性について述べた。


業界有識者たちがみるWeb3.0&メタバースの“現在地”

▶︎RainbowChain・雨弓氏

▶︎クラスター・とみね氏

「Web3&Metaverseセッション」と位置付けられた最初のセッションでは、石濵氏に加え、RainbowChain CEOの雨弓氏、クラスター株式会社のとみね氏、Digital Entertainment Asset COOの桐生慎也氏が参加した。会話形式のセッション前には、各々の専門分野に関する初心者にもわかりやすい基礎講座が行われた。

最初に登壇した雨弓氏は、初心者向けにNFTに関する解説を行い、そのなかで「Web3.0の普及により自分のデータと資産を自らが管理する世界になる」と言及。Wrb3.0ではそれがブロックチェーンによって実現されるとした。

次に登壇したとみね氏はメタバースについて、「現状はゲームのようなもの。将来はあたらしいメディアとなる」といった持論を展開し、「僕たちメタバースに携わる者が理想とするのは、メタバースが世の中のインフラになること」と強調した。


学生であるという優位性を十分に有効活用してほしい

▶︎左からとみね氏、雨弓氏、石濵氏、桐生氏

会話形式のセッションでは、Web3.0によるインセンティブについて話題となった。その代表例としてSTEPNがあげられ、今もなお多くのバリューを生み続ける背景にはユーザーインセンティブがあり、この仕組みを構築することがカギを握るとの声があった。

特にWeb3.0の参入障壁とされるウォレット等の普及について、石濵氏はわかりやすい例としてPayPayをあげた。

かつてほかの電子決済ツールがあれば事足りるとの認識が広まりつつあったなかで、PayPayはユーザーへの大規模なインセンティブを構築。数百億円規模の還元キャンペーンを実施したことで、瞬く間に世の中に浸透していった。

その過程でユーザーがPayPayを使うことに慣れていき、今もなお主要な電子決済ツールとして利用されていると解説する。Web3.0領域におけるウォレットやそのほかの参入障壁についても同様で、ユーザーへのインセンティブ設計が極めて重要であるとの考えを示した形だ。

こうした意見に桐生氏も自社のブロックチェーンゲームが浸透していった背景をもとに同意。東南アジアを中心に、「ユーザーへのインセンティブが重要な役割を果たした」と語った。

また、ユーザー側も最初は「お金が欲しくてコミュニティやっています。ゲームをやっています」という理由から始めるケースが多かったが、ゲームをプレイするうちに慣れていき、やることが当たり前になったと述べる。この当たり前になるという状況がユーザー数拡大の重要なポイントであったようだ。

Web3.0の普及に伴いどのようなことが起こり得るのかという点については、石濵氏の「法定通貨の使用が減る可能性がある」という言葉も印象的であった。

同氏は「Web3.0が浸透することで急激に使用頻度が減り、法定通貨だけではなく、イーサリアム(ETH)等の暗号資産なども並行して使っていかなければいけないといった考えが多くの人々の間で徐々に広がっていくのではないか」と主張した。

一方、雨弓氏は「Web3.0領域では学生にこそチャンスがある」と述べる。特に同氏の周辺では学生の価値は高く認識されているようだ。

理由は、「Web3.0ではまだ秩序が整っていないから」。雨弓氏は自身の経験も踏まえ、ブロックチェーンゲームをやっていればいつの間にか日本で最も詳しくなるといったことも起こり得ると指摘する。

背景には、大手を始め多くの企業がWeb3.0領域に関する知識、そしてノウハウ不足である現状がある。こうした状況も踏まえ、「学生はエンタメ、金融、ゲームと広がるWeb3.0の領域で好きなものが何かみつけられるはず」とし、「自分が好きなことをしながらかつ、企業から重宝される可能性があるのがWeb3.0の現状」と述べた。

学生であるという優位性を十分に有効活用してほしいとの言葉が印象的であった。


政治の世界からみたWeb3.0とAI

▶︎自民党・平議員

そして、会場に入り大きな拍手で迎え入れられたのは平議員。開口一番、今年に入り一層熱を帯びているAI分野について語った。

平議員はChatGPTにより生成AIへの注目度が高まっていることに触れ、国内外の有識者たちと日本の立場について現在も議論を重ねていると述べる。そのなかで、ChatGPTを展開するOpenAI社のCEOサム・アルトマン(Samuel Altman)氏とも先月話し合ったことを報告した。

アルトマン氏は先月来日し、岸田文雄首相とも面会したことで話題になったが、その際に自民党の「AIの進化と実装に関するPT」にも出席した。

アルトマン氏によれば、ChatGPTを最も利用している国は日本であるという。同氏は日本でのさらなる普及を本気で望んでいたと平議員は語った。

このような発言に至った背景には、欧米を中心に広がりつつあるAI規制がある。すでに個人情報の漏洩リスクなどを理由に利用制限課している国もあり、ChatGPTの世界展開には黄色信号が灯っている。

平議員はこうした状況について文化の違いも要因として考えられるとした上で、「日本では安全保障、基本的人権、民主主義の根幹に関わること、知財については規制をするが、基本的にはAIを使う予定である。むしろ使い倒すべきだ」との考えを示した。

続いてWeb3.0については、世界各国で「暗号資産の冬」と呼ばれる状況が続きつつも、日本は「暖冬だ」といった意見が寄せられていると述べた。これは日本が規制整備に尽力してきた証左であるとし、Web3.0の基盤作りにもつながっていると語る。実際、昨年FTXが破綻した際には迅速な対応がとられたことに加え、堅牢な規制によって顧客資産の保護がなされた。

また、日本には観光体験や、食、マンガ、アニメ、ゲームなどといったポテンシャルの高いIPがあるが、国際価格と比べると価格が安い点は課題であるという。Web3.0を活用することで、こうした課題解決にも期待ができるのではないかと平議員は語った。

Web3.0のマスアダプションについては、依然としてそのわかりにくさを改善する必要があると強調。そのカンフル剤の一例として、2025年に開催される大阪万博において「ウォレットをつけて全国民にNFTを配ることも検討されている」と述べた。環境が整いつつある今だからこそ、国の戦略として行うことが有効だという。


学生らが抱く次世代技術への疑問

▶︎平議員と質問する学生たち

講演の後には平議員と学生によるセッションが行われた。学生から鋭い質問が飛ぶ一方、平議員の回答もまた多くの参加者を納得させるものであった。

学生からAIと教育について質問を受けると、平議員は「限られた空間や教員数の問題などの課題をAIなどのイノベーション技術を使って補っていく。教育のデザインをやり直す時期にきている」と答えた。

続いて、「非中央集権的なWeb3.0を、中央集権の象徴である政府が推進していくという矛盾めいた部分についてはどのように感じているか」という問いに対しては、「国家とWeb3.0は衝突しない。あくまでも役割分担を行うべきで、中央集権的プラットフォームが良いのか、分散型が良いのかについては使い分けが大事」と語った。


誰もが参加しやすいイベント


すべてのセッションが終了した後には自由交流が行われた。参加者同士のコミュニケーションは当然のこと、協賛企業のブースにも多くの人だかりが確認できた。

今回のイベントには多数の学生が参加し、なかには高校生もいた。Web3.0に対する熱量や知識については個人差があるものの、裏を返せば誰もが障壁を感じず学ぶ姿勢を持って参加しやすい環境であったといえる。


あらたな課題も露呈した


最後まで盛況であったイベントだが、主催するWeCreate3のメンバーは「あらたな課題も露呈した」とし、すでに目線は前を向いていた。

「学生からWeb3.0・メタバースの正しい知識を広めていく」という目標を達成すべく、今後も精力的に活動を続けていくとみられるWeCreate3に、今後さらなる熱視線が注がれるのではないだろうか。

画像:Iolite、WeCreate3



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Iolite 編集部