2022年5月に価格崩壊したアルゴリズム型ステーブルコイン「テラUSD(UST)」に関する訴訟で、開発元のテラフォームラボ(Terraform Labs)が、約44億7,000万ドル(約7,030億円)の和解金をSEC(米証券取引委員会)へ支払うことに同意したことがわかった。
SEC(米証券取引委員会)が12日に裁判所へ提出した和解書類で明らかになった。
テラUSDとルナ(旧LUNA)の価格崩壊により400億ドル(約6兆3,000億円)もの損失を投資家に与えたとして、テラフォームラボと元CEOのド・クオン(Do Kwon)氏は今年5月、民事詐欺事件で有罪判決を受けた。
マンハッタンの陪審は、テラフォームラボとクオン氏が、テラブロックチェーンの崩壊前にプロジェクトの成功と安定性について投資家を騙し、詐欺を働いたと判断した。
合意の一環として、テラフォームラボとクオン氏は不当に得た利益の45億ドルを返還し、民事罰金4億2,000万ドル(約660億円)を支払うことになる。また、クオン氏は今後一切の暗号資産取引への関与も禁じられる。
合意書によると、クオン氏は個人的としても被害者支援の一環で総額2億400万ドル(約320億円)の罰金を払うこととなり、SECはこれが「紛れもない抑止力」になると述べている。
現在モンテネグロで勾留されているクオン氏は、米国あるいは韓国のどちらで身柄が拘束されるか依然として決まっていない。
「暗号資産の冬」の発端となったテラルナ事件
2022年にテラUSDとルナの価格が崩壊したことで暗号資産市場は混乱に陥り、その後の「暗号資産の冬」につながったともいわれる。同年11月には、大手暗号資産取引所FTXも破綻した。また、世界の規制当局者にとって暗号資産規制の必要性が印象付けられた事件であるともいえる。
クオン氏起訴された後、滞在していたシンガポールから逃亡したが、昨年末にモンテネグロで逮捕された。同氏はテラの破綻に関連し、米司法省から詐欺罪で告発。また、韓国では資本市場法違反、詐欺、賄賂、取引量の操作などの金融犯罪で別途告発されている。
参考:裁判書類
画像:Shutterstock
関連記事
バイナンス元CEOのCZ氏、カリフォルニア州刑務所に収監
米CFTC、バイナンスと和解 約3,800億円の罰金課す