ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は14日、フロリダ州ウェストビーチのコンベンションセンターで開催した自身の78歳の誕生日イベントで、「ジョー・バイデン(Joe Biden)による暗号資産(仮想通貨)戦争を終わらせる」と公言した。
トランプ氏は、副大統領候補として有望視されているマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員(共和党、フロリダ州)と共に、対立候補のバイデン大統領を批判。「我が国は無能な人々によって破壊されつつある。すべての大統領は適正テストを受けるべきだ」と述べた。
ルビオ氏もバイデン氏のG7サミットでの言動に触れつつ、トランプ氏に賛同した。具体的には、バイデン大統領が「本当に混乱しているようにみえた」とし、イタリアのジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)首相がバイデン氏に「どこをみるべきか、どこへ向かうべきか」を指摘し助言していたことに言及した。
その上で、「彼ら(民主党)は精神的に無能な男を大統領候補者として擁立した。海外に出向き、外国の指導者に手を引かれて案内されなければならない大統領というのは、我が国にとって屈辱的だ」とルビオ氏は続けた。
トランプ氏はその後に暗号資産について言及し、「フロリダを米国における暗号資産の普及の中心地にする」と出席者らに約束した。
「私はジョー・バイデンの暗号資産戦争を終わらせ、暗号資産の未来とビットコイン(BTC)の未来が米国で作られることを実現する。私たちはそれをここフロリダで維持するつもりだ。そしてその多くはここフロリダで行われるだろう、そうだろう?」と述べると、観衆から喝采を浴びた。
フロリダ州は所得税がなく、企業が州税を暗号資産で支払うことを許可するパイロットプログラムを導入するなど、暗号資産に好意的な規制政策をとっている。また、トランプ氏は12日にマイニング産業への支持を表明し、「残っているビットコインはすべて米国内で採掘されることを望んでいる」と述べていた。
また、トランプ氏は自身の選挙公約について言及し、特に不法移民の阻止、規制緩和、環境保護の撤廃による国家エネルギー生産の増大、減税について強調した。
再戦に向け暗号資産への方針転換を図るバイデン大統領
一方、バイデン氏は暗号資産に対して慎重な姿勢で知られており、その意向を受け、SEC(米証券取引委員会)を始めとする規制当局は暗号資産を厳しく取り締まっている。
しかし、米下院は5月、SECの過剰な取り締まりを抑えるための暗号資産法案(21世紀の金融イノベーション・テクノロジーに関する法案=FIT21)を可決した。その法案にバイデン政権は大統領が持つ拒否権を発動し、無効とする姿勢を主張したことで、与野党の議員や国民から反発を受けた。
こうした状況が自身の大統領再選に影響を及ぼすと判断したためか、近頃は暗号資産に対して前向きな姿勢に方針転換しつつある。
直近では、バイデン大統領が暗号資産のアナリストを呼び、詳しく話を聞いたという。さらに、バイデン大統領の側近らはコインベース・コマース(Coinbase Commerce)を通じて暗号資産による寄付受け入れを検討し始めた。
参考:演説
画像:Shutterstock
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