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暗号資産
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【NEWS】米下院、暗号資産関連法案「FIT21」を可決 バイデン政権方針転換

里見 晃
2024/05/23

SEC委員長反対姿勢示す

米下院は22日、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産に対する規制の明確化を目的とした法案を279対136で可決した。可決された法案は「21世紀の金融イノベーションとテクノロジー法(FIT21)」だ。

今後、本法案が上院で可決され、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が署名すると、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)のデジタル資産に対する役割が明確化される。さらに、デジタル資産や決済システムの責任ある開発を推進することで、世界の金融領域における米国のイニシアチブが強化されることになる。

なお、SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長はFIT21法に対して「現在の消費者保護を弱体化させる」と批判。ゲンスラー氏は提案された本法案が「重大な規制上の欠陥を生み出し、投資契約の監督における数十年にわたる前例を損ない、投資家と資本市場に大きなリスクをもたらすだろう」と警告した。

さらに、ゲンスラー氏はこの規制によりブロックチェーンベースの投資契約が証券として分類されなくなると強調した。この変更により、暗号資産投資契約の発行者は自社の商品を分散されたシステムであるとして自己認証できるようになり、事実上SECの監視から外れることになるとも述べた。

「SECには、その商品がデジタル商品であるという認定を審査し、異議を申し立てるのに60日しかない。SECの異議申し立てに成功したものは、制限付きデジタル資産として再分類され、多くの中核的な保護を除外する法案のより緩やかなSEC監視体制の対象となる」と付け加えた。

さらに、証券として適格がどうかを判断するための方法であるハウィー・テストを放棄することにつながり、これにより投資契約に対する保護が弱まると主張した。


バイデン政権は方針転換発表

一方、先日までFIT21法に対して大統領拒否権を発動すると表明していたバイデン政権は、22日あらたな声明を出した。この政策声明では、デジタル資産に対する包括的でバランスの取れた規制枠組みを確保するために議会と協力すると述べ、これまでの姿勢を一転させた。この声明は、ゲンスラー委員長による反対表明から数時間後に出された。

バイデン政権は政策文書を通じて、以前表明した暗号資産関連法案を拒否するという姿勢を撤回している。ただし、本法案については「投資家を複数のリスクにさらす可能性のある抜け穴がある」とも主張している。

声明では、「政権は議会と協力して、既存の当局を基礎として、デジタル資産に対する包括的でバランスの取れた規制枠組みを確保することに熱心であり、それがデジタル資産と決済イノベーションの責任ある開発を促進し、世界の金融システムにおける米国のリーダーシップの強化につながるだろう」と述べた。

バイデン政権が政策方針を転換させた背景には、11月の米大統領選挙がある。暗号資産保有層には40歳以下の投票権利者が多数含まれており、これまでの姿勢を貫き通すことが不利になると判断した模様だ。

参考:ホワイトハウス
画像:Shutterstock


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