近年、急速に発展するAI技術を利用して、パソコン、スマートフォンやタブレットなどのデバイス上で動作するアプリケーション「AIアプリ」を開発、取り入れる動きが各業界で加速している。
AI技術を用いることによって、データの解析や予測、判断などの高度な処理が可能となるが各業界ではどのように運用、もしくは開発、導入されているのだろうか。
さまざまな業界で導入され始めたAI技術
AI技術は、近年急速に発展しており、さまざまな業界で導入されるようになってきた。AIを利用することで業務の効率化、コスト削減、ビジネスの成長促進などに役立つため、加速度的に多くの企業が積極的に開発と導入を進めている。
一般的に、AIの導入状況をみると、IT業界や製造業界が業界の体制・体質とAIとの親和性から比較的早い段階でAI技術を導入し、その効果を実感している。現在では日常的に利用されているといっていいだろう。
その一方で、近年はそのほかの業界においても積極的に各業界に特化したAIアプリ開発、導入が進められており、今後はさらに身近な存在となっていくことだろう。
このように各業界ともAIの導入を推進しているという現状ではあるが、現段階でのAI技術ではできることとできないことがハッキリとわかれており、それが各業界の共通認識であると共に、ある種の大きな課題のひとつにもなっている。
現段階におけるAI導入の最大のメリットは大量のデータを高速かつ正確に処理、分析することなのは説明するまでもない。ここ数年で加速度的に進んだペーパーレス化の現代社会においては、どの業界もビッグデータを有している。
過去から蓄積されたビックデータをマーケティングにどう活かすか、これは昨今のマーケティング業界のトレンドである。この一点だけとっても、現状でも十分な処理能力を有するAIを導入するメリットがあるといっていいだろう。
「ChatGPT」や「Midjourney」にみる現状のAIの課題
人間が処理しきれないほど大量のデータを短時間で分析して精度の高い判断を下すという現段階でのAI導入最大のメリットを活かしているものとして、たとえば金融分析や天気予報、 医療診断などがあげられる。また、一定の規則に基づき効率的にタスクをこなすことも可能なことから、たとえば産業分野ではAI搭載ロボットが代替することで、単純作業や危険作業の効率化とリスク軽減に役立っている。
近年、一般社会においても「ChatGPT」や「Midjourney」といったAIアプリが話題となっているが、これらが登場する以前、AIが不向きとされてきたのがアーティスティックやクリエイティブという分野だった。
ところが、このデメリットを解消したのがChatGPTやMidjourneyだ。たとえば、過去の膨大なデータをもとに、まったくゼロからではないものの、ChatGPTやMidjourneyで自然かつクオリティの高いイラストや画像の生成が可能となったのだ。
これはつまり、写真家やイラストレーターなどある程度のスキルや専門知識が必要とされるアーティスティックやクリエイティブという分野 において、極端で大げさな例になるが、知識ゼロ、スチールカメラを扱ったこともない、画も描いたことがない人間でもChatGPTやMidjourneyを利用することでプロ並みの作品を生み出すことができるようになったともいえる。
その一方でChatGPTやMidjourneyのようなAIアプリの登場でみえてきたAIの現段階における課題もある。たとえば、出版業界における盗作問題、あるいは著作権問題などがあげられる。ChatGPTやMidjourneyでイラストや画像を生成した場合、権利関係の所在がどこにあるのか悩ましいところだ。
通常、イラストであれば、当然作成者が著作権を有している。ところが、過去の膨大なデータから生成するChatGPTなどで生成した場合、ゼロベースから生成しないため、収集したデータのなかに何らかの権利物を含んでいる可能性もある。そうしたことから、ChatGPTやMidjourneyで生成した作成物は、法的にも道義的にもそれを生成者の権利だといえるのか?というのが現在の出版業界におけるAI利用の課題としてあげられている。
ここまでは出版業界を例にあげたが、これは研究論文などを扱う学術界でも同様の課題があるといえ、著作権というものは調査結果を含むデータ関係にも当然存在するので、このような権利関係の問題がAI導入・活用する上で、課題としてあがってくるのではないだろうか。
そのほか、有識者によると、非定型的な問題の解決や感情、人間関係の理解、倫理的な判断という点やサイバー攻撃リスク、データ品質の問題、トラブル時の責任問題などでAI導入に際して直面する課題があるとされるが、あくまでも現段階における課題であるということは指摘しておきたい。当然、AIは今後も進化していく技術であるし、その進化の過程でこうした課題は解消されていくだろう。
日本企業のAI導入状況とAIシステム利用割合
PwC Japanグループが毎年行っている日米企業を対象にしたAI予測調査によると、2022年の調査では日米のAI活用度にほとんど差がなかったが、2023年の同調査では乖離が生じていると指摘している。
同社の調査によると、日本ではAIをビジネス活用している企業が約50%であるのに対し、米国では70%超と大半の企業が活用している。未導入企業に着目するとその差はさらに歴然となり、米国ではAI未導入企業が12%で少数派であるのに対して、日本ではAI未導入企業が35%と、企業の約3分の1がいまだ検討・実証段階を脱していないとしている。
その一方で、IDC Japanが発表した「2023年の国内AIシステムに関する企業ユーザ調査結果」によると、限定された部門でのPoC(概念実証)から全社利用までを含めると、国内企業のAIシステムを利用する割合は72.4%になったと指摘している。
こうした調査などから世界的にみると日本企業のAI導入はやや遅れ気味ではあるが、国内AIシステム市場は、データ分析、業務自動化、顧客サービスへの適用など、AIの本格利用が産業分野各種で拡大していることがわかる。
実際にAI導入してさまざまな企業が成果をあげている
では、実際にどのような企業がどのようにAIを導入しているのだろうか。各業界のAI導入事例をみていこう。
まず長時間労働が社会問題として認知され、働き方改革の名のもとに是正されるよう取り組みが進められている物流業界では、長時間労働のほか、再配達・受け取り拒否問題による業務過多、積載率の低下によるドライバーの負担増加といった課題に直面していた。このような課題を是正するため、AIを導入し、課題解決に向けて推進している。
AIの導入により、蓄積した過去のデータを大量に分析することで物流量やピークタイミングの予測精度を上げることが可能になり、需要予測による在庫の適正化が実現し、物流センターの作業人員シフトの最適化や、トラック輸送の人員配置を最適化することで、省人化や効率化が可能となり、長時間労働の是正につながっている。
そのほか、自動走行システムを利用した高速道路のトラック走行の実証実験が進んでおり、これによって制約条件下での配車計画を自動立案して、台数やルートを効率化することが可能になる。
また、IoT技術によりモノをインターネットにつなげることで商品にセンサーや通信機能を搭載して、状態や動作を確認したり、RFIDタグを用いた商品管理によって検品作業を効率化することも可能だ。
もうひとつ、製造業界におけるAI導入事例をみてみよう。製造業界では外観検査、異常検知、予知保全といった業務領域において、AI導入が日々進んでいる。これまで製造業界では少子高齢化による慢性的な人手不足や従業員の高齢化のほか、若い労働者不足による技術継承の減退、さらに人口減少とグローバル化による競争の激化という課題に直面してきた。こうした課題の解消を目的にAIが導入されている。
AI導入により、作業の効率化が図られ、作業の安全性も向上し、品質も均一化、従業員へのストレスも軽減、従業員の疲労によるパフォーマンス力の低下も抑制でき、人的事故の減少にもつながっている。
本稿では、導入例とした物流業界や製造業界のほかにも、主な業界の導入事例や動向などを紹介する。ぜひ各業界のAI事情の認識に役立ててもらえたら幸いだ。
【物流業界】
人員の長時間労働や積載率の低下といった物流業界特有の長年の課題解消に期待
参考になる企業名
富士通、ヤマト運輸、三井物産など
物流業界では、配送ルートの最適化や積載率最適化、配送中の品質管理などに効果があるAI技術を利用した配送管理アプリの開発、導入が進められている。配送先の住所や時間帯、荷物の重さ、サイズなどをデータとして入力することで、自動的に最適なルートを算出する配車システムもすでに開発されており、一部の物流企業ではすでに導入され、効率的な配送や輸送コスト削減が可能となった。
また、最近では、荷物の配達状況をリアルタイムで把握できるトラッキングシステムもある一方で、荷物の損害や紛失を防ぐために、AI技術を活用した温度管理システムなども開発され、実用化が進められている。
導入事例としてはフォークリフトにAI判定システムを導入したサントリーロジスティクスや富士通、AIによる業務量予測で効率的な配車を実現し経営資源の最適配置をしているヤマト運輸、AIやIoTで現場データをリアルタイム収集しているNEC、異常検知のAI導入で自動封函の質を向上させた三井物産グローバルロジスティクスといった企業があげられる。
配送ルートの最適化や配送中の品質管理などに活用して効率的な配送や輸送コスト削減に成果
▶配送ルートを最適化するサービス 「Loogia」
日本郵便や佐川急便などで導入されているのが配送ルートを最適化する「Loogia(ルージア)」(株式会社オプティマインド)だ。物量の増加によるドライバーの人材不足、業務最適化を図るため、配送ルート最適化のAIシステムで、配送員がどのようなルートを通って配送するか、どこに駐車するかといった事象の可視化を実現している。
【小売業界】
AI導入で商品発注による誤差やマーケティング不足を解消へ
参考になる企業名
セブンイレブン、イトーヨーカ堂、ローソンなど
小売業界では、データの収集・分析や自動化といった業務において非常に優れた能力を持っているAIを活用し、さまざまな方面でアプリの開発が進められている。たとえば、AIを導入して在庫管理を自動化することで、在庫数が最適な状態になるように調整することができるようになった。
また、多種多様な商品や顧客の嗜好に対応するために、AIを活用した商品のレコメンドシステムを導入することで、顧客により適切な商品を提案できるようになった。
そのほかにも、顧客のニーズを正確に理解し、より良い顧客体験を提供することが可能になったり、マーケティング戦略の立案や改善を行うこともできる。今後もエフィシエントな小売業界の発展が期待されている。
導入事例としては、AIを活用した発注数の自動算出システムで省人化を意識したコンビニ設備を目指しているセブンイレブン、「ローソンオープンイノベーションラボ」を設置してAIコンビニの実証実験を行っているローソン、AIを使った商品発注システムで最適な販売数を予測しているイトーヨーカ堂といった企業があげられる。
商品発注による誤差や在庫の廃棄問題などが解消されつつあり次世代型店舗を目指している
▶OCR技術で商品ラベルの一括読み取りができるAIシステム
Automagi株式会社は商品のラベルに記載されている情報をスマートフォンで一括で読み取るAIシステムを開発している。
ラベルごとの事前の詳細設定は不要で、AIのOCR技術を用いて、ラベルを撮影するだけで 一括読み取りを可能にした。一括読み取り・管理を可能にすることによって業務効率を図ることが期待されている。
【製造業界】
人手不足、従業員の高齢化、競争の激化といった課題の解消に向けて導入推進
参考になる企業名
横河電機、スカイディスク、東芝など
近年、製造業は、グローバル化に伴い価格競争が激化し、品質、コスト、スピード、フレキシビリティなど自社の競争力を維持するために新技術を導入する必要があった。生産プロセスを高度化し、品質向上やコスト削減、生産効率の改善を実現するため、AIの導入を推進している。
生産現場の自律性を向上し、機械自体が生産現場で学習・進化していき、大量のデータを処理し、生産工程や品質管理の問題点を予測して改善。その結果、品質や生産量の向上を実現することができるAIは製造業界とも親和性が高く、原因不明の事故やトラブルの防止、生産効率の改善等が期待され、コスト削減にもつながる。今後、AIの活用技術が進化するにつれて、より高度な生産システムが実現されるだろう。
導入事例としては、化学プラントの自律制御している横河電機、鋳造条件をスコアリングしているスカイディスク、 抜き取りデータから不具合要因の特定をしている東芝、磁気探傷検査を自動化しているトヨタ自動車などがあげられる。
従業員の疲労によるパフォーマンス力の低下を抑制、一番避けるべき人的事故の減少に効果大
▶産業用ロボットのAI活用
アセントロボティクス株式会社は、バラバラに置かれた物体をカメラで認識し、つかみ方を自動で判断、動作可能な制御ソフトを開発している。産業用ロボットには部品などをつかむバラ積みロボットがあり、AIを活用した製品やソリューションも多くある。今後は物流現場向けのサービスも強化していくとの方向性を掲げている。
▶AI内蔵カメラによる計器の自動読み取り
株式会社IntegrAIは、AI内臓のカメラで製造機器が示す数値などのあらゆる情報を自動データ化するシステムを手がけている。従来は人による目視で確認していた作業を自動化することで、製造業の働き方改革に貢献することが期待されているほか、IntegrAIのシステムは電源さえあれば設置でき、導入コストを抑えられる点が特徴だ。
【飲食業界】
従業員の負担削減、人手不足の解消などを目標にAI導入を推進
参考になる企業名
スターバックス、ドミノ・ピザ、福しんなど
飲食業界でも、AIアプリの導入によって店舗運営の最適化や食材の最適な調理法、そしてマーケティング戦略の改善など、多くのメリットを得られることが期待されている。
具体的な導入事例のひとつとしては、スターバックスが自社のアプリを通じて、ユーザーの好みから提供するドリンクやデザートをオススメする機能を導入するなど、効果的な販売促進施策を行っている。また、ドミノ・ピザではデリバリー業務にAIアプリを導入することで、最適なルートを計算し、配達時間を短縮することに成功している。
その一方で、AIアプリの導入には、導入コストの高さやデータの解析に対する技術不足などの課題もある。そのため、AIアプリを使用する上での適切な導入プランを立てることが重要だ。
配達時間の短縮や人件費削減、棚卸業務の負担軽減した企業も
導入事例としては、先述したスターバックスやドミノ・ピザのほか、AIカメラによる人流の可視化で人件費削減したライズウィル、AIの自動発注で棚卸業務の負担軽減した福しんといった企業があげられる。
【介護業界】
人手不足、体への負担、利用者との人間関係といった課題の解消が目標
参考になる企業名
A.I.Viewlife、富士ソフト株式会社など
介護業界ではAIの導入により、介護者の負担軽減や、高齢者及び障害者へのより質の高いケアが可能になることが期待されている。
具体的には、高齢者や障害者の状態をモニタリングし、自動的に通知する機能や、薬の副作用を検知して警告する機能、歩行補助のためのロボットなどが開発されている。アプリでは、スマートフォンやタブレットなども利用して日常生活をサポートするものや、高齢者や障害者が安心して暮らせる環境を実現する技術も開発されている。
さらに、介護現場におけるスタッフの業務支援や、健康相談業務の一部をAIが担うことにより、より質の高い介護 サービスが提供される可能性もある一方で、人間の直感や判断力が必要な場面も多く、コミュニケーションが重要とされる介護業界では、まだまだ課題も多く存在している。
経験豊富な介護スタッフとAIが相互補完できるよう、バランスをとりながら導入していくなど、現場でさまざまな試みが行われ続けている。
体調の変化を早期予測が可能に 従業員の心理的負担も軽減
▶A.I.Viewlife
A.I.Viewlifeはエイアイビューライフ株式会社が開発した介護見守りロボットだ。介護現場の「見える化」を実現し、転倒などの危険動作や、起き上がりなどの危険予兆動作を広角IRセンサーとAIによって検出し、重大な事故の防止につなげることができる。
実際に導入した結果、ヒヤリハットや介護事故件数がゼロになったり、介護施設の入居者に対する訪室回数が減少したほか、介護する側の夜勤ストレスが減少するといった効果が報告されている。
▶Palro高齢者施設向けモデルlll
富士ソフト株式会社では高齢者施設向けコミュニケーションロボット「Parlo」を開発している。日頃のおしゃべりに付き合ってくれたり、踊ったり歌ったりといったレクリエーションに活躍しているほか、今後は高齢者に対する見守り機能を搭載する方向性を示している。
【医療業界】
人材不足と過酷な労働環境の改善に効果をもたらす可能性
参考になる企業名
福岡和白病院、みなとクリニックなど
医療業界では、診断や治療、データ分析などのさまざまな面でAIが現場を支えている。たとえば、AIを活用することで大量の医療データを効率的に分析することが可能になり、これによって病気の早期発見や治療法の最適化が行われ、医療の精度が向上すると同時に、医療費の削減が期待されている。
また、AIは医療現場において重要な役割を果たしており、たとえば手術支援ロボットや医療製品の自動化などは、AIの導入によって実現された。これによって、手術の精度が向上し、治療効果が高まることが期待されている。
さらに、セルフチェック用のデバイスや、健康管理アプリなどを活用することで、個人の健康管理が容易になる。これによっ て、健康管理に関する情報を効率的に収集することができ、病気の予防や早期発見につながることが期待されている。
医療従事者の労働負担が軽減し心理的負担の軽減が実現可能に
導入事例としては、福岡和白病院によるAI問診「Ubie」、みなとクリニックでのクラウド型電子カルテ「CLIUS」、東京ミッドタウンクリニックによる疾病リスク予測AIサービスの活用といった事例があげられる。
【建設業界】
AI導入で土木設計が変わる⁉人員確保と労務管理にも効果期待
参考になる企業名
株式会社アラヤなど
建築業界でもAI技術が活用されるようになり、建物や施設の設計・構築、施工の効率化や品質・安全性の向上につながるAIアプリが開発されている。
代表的なものは、建築設計におけるAIアプリだ。建物の設計プロセスにAIを導入することで、従来よりもスピーディかつ正確な設計が可能になった。また、AIは照明・空調・音響設備の最適化など、建物のエネルギー効率を高めるための設計支援も行うことができる。
別の例として、建設現場でのAIアプリがある。これは、施工現場でAIを活用することで、施工計画の最適化、進捗管理や危険物の予知・予防など、現場での作業支援を行うものだ。具体的には、ドローンで建物の詳細な測量データを取得し、建設現場を建築用シミュレーションソフトで再現することで、建築物の安全性や効率性を高めることができる。
これらのAIアプリの導入により、建設プロセス全体にかかる時間や資金、エネルギー面でのコストを削減し、建築物の品質や安全性を高めることが期待されている。
建設プロセスのコスト削減、高まる建築物の品質や安全性
▶自律作業型ロボット
人が操縦して作業する建機を無人化した自動操縦ロボットはすでに多くの建設現場で活躍している。AI搭載建機として重機、掘削機、ブルドーザーなどがあげられ、それぞれの特定業務で人の作業を代替。建築現場における作業は室内環境の製造ロボットなどに比べて環境条件の変化や予想外の状況が発生することが考えられるため、よりフレキシブルな自律性が求められている。
▶ドローンによる現場監視
建設現場を上空から監視し、現場の安全や資材窃取などを防ぐAI搭載ドローンがセキュリティロボットとして役立っている。現場の状況を高精細画像で読み取り、リアルタイムで地上のモニターや監視員のタブ レットにビデオ画像を送信。作業状況を継続してモニターできるため、現場の進捗管理や人員配置に活用することで生産性向上に寄与できる。
【教育業界】
教師の長時間労働や不測の事態による授業の進捗状況の不透明さを打開
参考になる企業名
野田塾、英進館、日本英語検定協会など
教育分野では、学習支援や評価の精度向上などに役立つAIアプリが開発されている。まずは、学習支援に関するAIアプリ。こうしたアプリは、学習者の学習状況を分析し、それにあわせた学習計画の提案や、学習の進捗状況に応じてフィードバックを行うなど、個別最適化されたサポートを提供することができる。
学習者のテストの解答履歴、問題の回答時間などを分析し、自動的に学習状況を判断し、効果的な学習支援を提供している。また、英語学習などで音声認識技術を利用したアプリもあり、発音の矯正に役立つことが期待されている。
AIを用いた評価支援アプリも注目されている。学習者が課題を解く際の思考過程や作業過程を収集し、振り返りの機能や課題の改善点を提供することもできる。AIによる自動評価システムは現在開発が進んでいる。
データ分析に基づくカリキュラムの構成やアダプティブ・ラーニングが実現可能に
導入事例として、入試合格ラインをデータから予想している英進館、生徒の苦手分野をリアルタイム解析している野田塾、AIによる記述式問題の自動採点を行っている日本英語検定協会などがあげられる。
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