世界30位以内のチェーンを目指す注目プロジェクトに独占取材
なぜ数あるブロックチェーンのなかでも新興ブロックチェーンであるMOOIがこれほどまでに評価されるのだろうか? そのバックボーンやこれから注力していく領域、そして日本市場での展開等について、Voyager Japanの趙氏に話をうかがった。
国内向けにWeb3.0のプロジェクトを立ち上げていく
——現在、MOOI Networkではどのような構想を描いていて、どのような取り組みに注力しているのか教えてください。
趙訓濟(以下、趙):MOOI Network(以下、MOOI)は去年から本格的に稼働を開始し、今日に至るまで、ブロックチェーン基盤を構築するという点に注力してきました。1番の目標・ゴールとしては、使いやすさと直感的なUI・UXに優れているブロックチェーンを作ることです。
そうした部分に注力した結果、「Jellyme」というNFTマーケットプレイスをリリースすることができました。現在はJellymeを通じたMOOIのエコシステム構築に注力している状況です。
——MOOIは現在、クレイトン(Klaytn)やポリゴン(Polygon)とブリッジしています。対応チェーンが増えていくとJellymeなどへのユーザー参入もより増えていくと思いますが、現在具体的にブリッジを計画しているブロックチェーンはありますか?
趙:MOOIはEVM(Ethereum Virtual Machine)との互換性を持つネットワークなのですが、そもそもブロックチェーンを単独で作った場合、やはり最初から信頼性を得ることが難しいという課題があります。そのため、ほとんどのブロックチェーンがソースコードを公開したり、外部とパートナーシップを組んだりして信頼性を確保すると思います。
MOOIでは理想とされるネットワーク作りに注力し、外部の資本に依存しないレイヤー2チェーンとしての位置付けを目指せば、信頼性を確保できるのではないかと考えました。そうした考えから、まずはクレイトンのレイヤー2チェーンとしてスタートしています。
とはいえ、クレイトンにすべてを依存しているわけではありません。しっかりとブロック生成がされているという保証をする意味でクレイトンと連携しています。
信頼性確保という点で現在はほかのブロックチェーンと提携することは考えていません。ただ、ほかのネットワークとの流動性を確保しない限り、資産移動の自由が確保できない状況もあると思います。
MOOIではパートナー企業のソリューションを使ってクレイトンとポリゴンをサポートしており、流動性の面では今後もほかのネットワークとも連携をしたいと考えています。
将来的には、どれだけ日本人にとって使いやすいブロックチェーンになるかという点が我々にとって重要ですので、たとえばイーサリアム(Ethereum)やリップル(Ripple)などとの連携も大事だと考えています。
——MOOIは『ポケコロ』、『リヴリーアイランド』等のアバターアプリで実績を有するココネのグループ企業ですが、いわゆる「Web2.0」と「Web3.0」とで差や違いを感じたことはありますか? 関連して失敗・改善したエピソードもお聞かせください。
趙:いわゆるWeb2.0はAppleとGoogleの2つのプラットフォームにわかれていて、そこでどれだけ競争して生き残るかが焦点になります。また、そこから流入したお客様の趣味・好みに合うものをいかにして提供できるかが重要です。
一方、Web3.0になると、アプリが集まっているプラットフォームとか、ここからマーケティングを始めるといった場所がないのが現状です。Web2.0的なものと比べて、商品の名前を知ってもらう方法がない点も難しいと感じるところですね。
また、お客様の課金行動というところでもWeb3.0ではさまざまな段階を踏む必要があり、ハードルが高いと感じています。ですので、ブロックチェーンとしての価値を形成しながらも、お客様に対してどれだけ簡単なUI・UX、そして利便性のあるシステムを提供できるかが1番の課題だと考えて取り組みを進めてきました。
特にUIについては改善を重ねてきました。開発側が当たり前だろうと思うことが、実際には使う側にとって難しいものであったりします。たとえばNFTをミントする際、失敗した時もガス代が取られてしまうといった点などは改善する必要がありますよね。
我々もお客様に注意喚起などを行いましたが、当初は英語表記でしたのでオンボーディングも進みにくかったです。今もUXの見直しや日本語表記などで改善を行っています。
——日本市場でのMOOIの優位性は利用するユーザー・企業側の双方にとってどこにあると思いますか?
趙:MOOIのメリットはとにかくガス代(手数料)が安いところです。そこはお客様と企業様に通じる優位性だと思います。
企業向けに何かを提供していくことについては、現在知見を重ねていく部分も含め研究を重ねています。まずは企業様が求める機能に特化した内部的ツールの開発を進めていくことになると考えています。
——今年は日本にとってWeb3.0を推進する大きな可能性を秘めた年ともいわれるなかで、今後日本市場向けにMOOIをどのように活用していく予定ですか?
趙:日本市場では国内で発信したプロジェクトやネットワークが多々ありますが、Web3.0として成功した事例は限りなく少ないと思います。その背景にはやはり厳しい規制環境が影響していると考えられます。その反面、昨年起きたさまざまな事件の影響を受けることなくユーザー保護に寄与した側面もあります。
国の次の戦略としてWeb3.0を推進する動きもありますし、日本の法規制を守りながらMOOIがどのように展開できるのかというのを多方面でみていきたいと考えています。まずは国内向けにWeb3.0のプロジェクトを立ち上げることがMOOIの今年、来年にかけての目標です。
◉趙訓濟│Cho Hunje
複数の大手IT企業にエンジニアとして従事し、2016年ココネ株式会社に入社。2020年にCARROT株式会社取締役COOに就任。現在はMOOI Networkの日本展開を担当している、Voyager Japan株式会社 代表取締役CEOを務める。
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