メルカリグループで暗号資産・ブロックチェーン事業を手がける30歳のメルコイン社CEOに、同社のこれまでとこれからを語ってもらった。
——フリマアプリや決済サービスを手がけてきたメルカリが、なぜ暗号資産事業に取り組むことになったのでしょうか?
中村奎太氏(以下、中村):暗号資産やブロックチェーンといったテクノロジーに大きな可能性を感じていたからです。同時に、メルカリが作り上げてきたビジネスを破壊するような技術でもあるかもしれないという危機感があったからですね。
——どのような点に可能性を感じたのですか?
中村:1つは、ビットコイン(BTC)に代表される暗号資産というものが、今後インターネットのネイティブな通貨として取り扱われるようになり、金融の世界が大きく変わるだろうという予想がありました。そうなれば、メルペイを中心に決済事業・金融事業を手がけるメルカリグループとしても、この変化と無関係ではいられません。
もう1つは、ブロックチェーンが持つディセントラライズド(非中央集権的)な世界観によって、あらたなエコシステムやビジネスモデルが生まれてくるであろうという点です。
ご存知の通りメルカリはお客様がものを売買するためのマーケットプレイスなので、セントラライズド(中央集権的)なビジネスモデルのど真ん中にいるといえます。だからこそ、今後ディセントラライズドな世界観が広がっていくというパラダイムシフトを追いかけなければ、我々のビジネスがいつか根幹から揺らぐのではないかという危機感を持っていました。
なので、2017年に「mercari R4D」という研究開発組織を社内で立ち上げたタイミングで、メルカリグループとして暗号資産やブロックチェーンといったテクノロジーをどのように扱うのか、活用できるのか、ということを大きなテーマとして扱うようになったのです。
▶︎ディセントラライズド(Decentralized)
非中央集権型・分権的・分散的という意味で、ブロックチェーンが備える特性の1つ。中央集権的という意味を持つ「セントラライズド(centralized)」の反対語