パブリックチェーンでの発行でWeb3.0との親和性も高い
銀行よりも安全で利便性も高く効率の良いものを作らないと意味がない。国産ステーブルコインの先駆けであるJPYCが見据える次なる展望。
ステーブルコインのメリット
——改正資金決済法の施行を踏まえ、今後日本でどのようにステーブルコインが利活用されていくかお考えをお聞かせください。
岡部典孝(以下、岡部):第1段階はWeb3.0、つまりNFTとかブロックチェーンゲームの間で使用され普及していくと考えています。中長期的にはNFTを活用して売買を行う法人にも普及していくと思いますし、そうなるよう期待しています。その先の話になると、DAOやAIなどで取引を行う際に自動取引の形でステーブルコインが使われるようになるでしょう。
——既存金融と比較し、ステーブルコインを利用することで個人・事業者はどのようなメリットを享受することができるとお考えでしょうか?
岡部:銀行決済との比較になるのですが、ステーブルコイン決済はより安全かつ利便性の高いものであるといえます。銀行決済は特殊詐欺に遭うなどの危険性がありますし、効率の面でいえば上昇する手数料の問題もあります。利便性の面でもプログラムを通じて扱おうと思っても対応しにくい。ステーブルコインは今後、世界中の規格が統一されて効率的になり、扱いやすくなると思います。
銀行の信頼性といった部分では、現在不正な送金が増えている状況です。過去、銀行はきちんと本人確認をして、その者同士で送金をしているから安全だと説明してきました。ところが、残念ながら運転免許証など身分証が偽造される時代になってきて、非常に多くの架空口座があるという状況になっています。
銀行式の身元確認が崩壊しつつあるのでしたら、ブロックチェーンでお金の流れを掴んだ方が、効率が良いということになります。
——ウォレットを持っていない人が大半を占める中、ウォレットを持っていない人にオンボーディングする方法についてどう思いますか?
岡部:ウォレットの普及率が銀行口座と同じくらいにならないと普及したといえないなか、大きなところで2つ方法があると思っています。
1つは携帯キャリアの大手3社が標準搭載すること。もう1つは、AppleやGoogleといった企業が標準搭載することです。さらにいえばキラーアプリの登場ですね。ポケモンGOのような、世界中の人がインストールしているようなキラーアプリが登場すれば一気に広まるでしょう。