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3D制作ツールは儲かるのか?「アンリアルエンジン(Unreal Engine)」徹底解剖

2023/09/28Iolite 編集部
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3D制作ツールは儲かるのか?「アンリアルエンジン(Unreal Engine)」徹底解剖

3Dモデル制作で稼ぐ方法を探る

アンリアルエンジン(Unreal Engine)とは?

アンリアルエンジン(Unreal Engine)は、Epic Gamesが開発した世界でもっとも高機能なゲームエンジンの1つ、実写のように美しいグラフィックが特徴のゲームエンジンだ。

ゲームエンジンというのは、「ゲーム制作において共通して用いられる主要な処理を代行し効率化するソフト」のこと。要するに、色々な3Dゲームにおいて共通して必要になる自然や家、人間などの3Dモデルを簡単に制作できるようにしてくれるものだということだろう。

最初は1998年にゲーム『Unreal』で登場したアンリアルエンジンは、いくつかあるゲームエンジンのなかでも、数多くのゲームで利用されていて、しかも無料で利用できるソフトとして非常に人気があるのだとか。ちなみに、ゲームエンジンと呼ばれているが、3D動画などの制作にも使えるらしい。

アンリアルエンジンは、米国のゲーム企業であるEpic Gamesが開発している。Epicといえば『フォートナイト』などで知られる有名なゲーム会社だ。UEは同社が運営しているフォートナイトだけではなく、『ファイナルファンタジー7リメイク』や『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』といった他社の有名ソフトでも利用されているようで、ゲーム開発の世界ではかなりメジャーなエンジンのようだ。

アンリアルエンジンの特徴として、「ブループリント機能で、プログラミングの知識や経験が浅くてもゲーム開発が可能」、「実写のように美しいグラフィック」、「すべての機能を無料で使える」、「ゲー ム開発以外にも使える」といった点があげられている。

ちなみに、機能はすべて無料だが、アンリアルエンジンを使って作成したゲームやアプリの総収入が100万ドルを超えたら5%のロイヤリティを支払う必要があるという規約になっている。大ヒットしたら還元してね、ということだろう。

とはいえ、ただの素人が何かを作ってこの金額を超えることは現実的ではないので、あまり気にする必要はなさそうだ。

代表的なゲームエンジン一覧

ゲームエンジンとしては、このアンリアルエンジンと「Unity」というソフトが有名らしい。統計データによると、Steam(パソコン向けゲームの販売プラットフォーム)上でリリースされているゲームで採用されているエンジンのうち、アンリアルエンジンが23%でシェア1位、Unityが11%で2位となっている。しかも、この数値は家庭用ゲームやスマートフォンアプリを含めれば、さらにアップするとみられている。

シェア2位のUnityは、アンリアルエンジンと比べるとグラフィック面では劣るがスマートフォンアプリ開発や小規模開発には適しているらしい。つまり、よりハイクオリティなゲームを作るならアンリアルエンジン、スマートフォンアプリなどでほどほどのクオリティで良ければUnity、という棲みわけになっているのだ。

なお、Unityの場合は一部機能のみ無料で、現実的に複数人でゲームを開発してリリースするのであれば有料版への登録が必要になる。さらに、来年には料金を改定することを発表していて、これまでの定額料金に加えて、収益とインストール数に応じたロイヤリティの支払いが必要になるようだ。

さらに調べたところ、Unity開発をする場合はC#というプログラミング言語の能力が必須。UEはC++というプログラミング言語が必要になるという。ただし、アンリアルエンジンは「ブループリント」と呼ばれる機能によって、プログラミングにそれほど長けていなくてもある程度開発はできるようになっている。

また、Unityについてあらかじめ用意されているアセットを組み合わせる程度であれば、プログラミング能力は必要ではないようだ。とはいえ、プログラムの知識はある程度備えていないと、使いこなせないとか。

ということは、プログラミング知識が一切ない人間がゼロからアンリアルエンジンで何かを作るのは無理では?

アンリアルエンジン(Unreal Engine)の特徴

アンリアルエンジンがほかのエンジンと一線を画す理由は、そのリアルタイムレンダリングにある。これにより、クリエイターは即座に高品質なグラフィックを確認でき、開発スピードが飛躍的に向上している。さらに、高精度な物理シミュレーションにより、自然な動きや衝突を忠実に再現できるため、ゲームだけでなく、製品デザインやシミュレーションでも活用されている。

また、アンリアルエンジンはクロスプラットフォーム対応しているため、PC、コンソール、モバイル、さらにはVRやARデバイスにも容易に展開が可能だ。この柔軟性は、ゲーム業界にとどまらず、広範な業界に支持されている。

アンリアルエンジン(Unreal Engine)の学習方法

アンリアルエンジンを学ぶためのリソースは非常に充実。Epic Gamesが提供するUnreal Academyでは、初心者から上級者までを対象にした無料のオンラインチュートリアルが数多く提供されている。これにより、プログラミング経験が少ない人でも、ゲームやシミュレーションの開発を始めることが可能だ。

また、YouTubeやUdemyなどのプラットフォームでも、アンリアルエンジンに特化したチュートリアルやコースが多数公開されており、開発者は自分のペースで学習を進めることができる。これらのリソースを活用することで、独学でも高いレベルに到達できるだろう。

Unreal Engineの使用方法

Unreal EngineやUnityといったゲームエンジンと呼ばれるソフトによって、 ゲームに使用される3Dモデルを誰もが造れるようになっている。そこで、まったくの素人が3Dモデルの制作で稼ぐことはできるのか、実際にトライしてみた。

『APEX』や『フォートナイト』などの3Dゲーム、そしてメタバースと呼ばれる3Dデジタル空間への関心が高まっている昨今。

ある日、「3Dでハイクオリティなグラフィックを作れる『Unreal Engine(アンリアルエンジン。以下、UE)』というソフトは誰でも無料で利用できるらしいですよ。これを使って一儲けできるのでは?」との連絡を本誌編集部から受けた筆者は、さっそくトライしてみることにした。

なんでも最近では、3Dゲームなどの世界でUGC(User Generated Content=ユーザー生成コンテンツ)と呼ばれる言葉が流行っており、開発者ではないユーザーが独自に作ったコンテンツを販売するなどして稼いでいるとか。

メタバースの時代が来る! なんて話も耳にするようになっているし、今から3Dで何かを作れるようになれば、一攫千金も夢ではないのではないか。そんな夢みたいなことを考えたのだ。

実際にUnreal Engineを起動してみる

ひとまずUEを自分のパソコンにダウンロードして起動してみた。もちろん無料で、インストールはすぐに完了。実際にUEを起動してみると、すでに3Dマップが用意されており、その地形を自由に動かしたり、キャラクター(といっても無機質な人形のようなもの)を移動させてみたり、といったことがすぐにできた。

しかし、「これはすごい!」と感動していたのは、ほんの10分ほど。3Dで人が移動できるだけのつまらないゲームをプレイしたいわけではないのだ。

このままでは埒が明かないので、ゲーム会社に勤務している友人・佐竹(仮名)に、3Dモデル制作について聞いてみた。


▶Unreal Engine5の開発画面。3Dデジタル空間にさまざまなアセットを選択して配置し、マップを作成する。

▶Unreal Engineのブループリント機能。プログラムを記述することなく、グラフィカルなグラフをつなげることによって、ゲーム内のさまざまな機能を作成できる。

▶Unreal Engineのマーケットプレイスでは、さまざまなアセットが販売されている。このアセットを組み合わせるだけでも、綺麗なグラフィックの世界を構築できる。

まとめ

Unreal Engineを使って開発したアセットを販売したり、動画を制作したりして稼ぐことは、不可能ではないが難しい。
しかし、企業からの需要は高いので学ぶ価値はあり。 


某ゲーム会社に勤務するエンジニアにインタビュー

——UEを使って一儲けしようと思ってるんだけど、そもそもUEを使って何ができるの?メタバースみたいなのも作れる?

佐竹:作れるかどうかでいえばイエスだけど、それを素人が1人で作るのはかなり無茶な話じゃないかな。たとえば、『超最先端の3Dデジタル美麗グラフィック!』みたいなゲームを想像してみて。ああいうゲームを作る場合、予算数十億、メンバー数百人みたいな世界だよ?個人が作れるようなものではないよね。

——うっ。たしかにおっしゃる通り。

佐竹:あと、UEでゴリゴリ開発をするのであれば、かなりハイスペックなパソコンが必要になるよ。色々ハードウェアの要件があるけど、だいたい25万円くらいのパソコンじゃないと、すぐに動作が重くなってまともに動作しなくなっちゃうから。

——最新のパソコンゲームをプレイできるようなハイスペックマシンが必須なのね。そう聞くと、個人が手を出せるようなものじゃない気がしてきたな。「UEを使えば簡単に3Dデジタルのモノが作れて稼げる」って聞いたんだけど、もしかして現実的ではない?

佐竹:人によると思うけど、これまで一切そういうことをしていない人がすぐにできるというものではないよ。まともに機能を使えるようになるまで半年、ゲーム開発の一部を担当するくらいの実力になるまでに数年はかかるんじゃないかな。

UEやUnityが使えるエンジニアの需要増

——ということは、個人でサクッとゲームを開発してリリースするのは不可能かな?

佐竹:個人や少人数で開発してゲームをリリースしている人たちはいるけど、ちょっとしたアルバイト感覚でできるようなものではないね。それにUEを使う場合というのは、かなりグラフィックに力を入れるようなゲームだから、あまり個人開発で使うことはないんじゃないかな。

比較的ライトなゲームを作るならUnityとか、ほかのゲームエンジンを使うのが一般的だよ。仮に作ったとしても、そのゲームが売れるかどうかは別問題だし。3Dモデルを作れたとしても、面白いゲームを作れるわけじゃないのはわかるよね。

——じゃあそういう個人開発をしている人たちはあまり儲かっていないの?

佐竹:副業とかでやるのでなければ、ゲームの売上だけが収入になるわけだから決して楽ではないよ。今も世界中でヒットしている『マインクラフト』はインディーゲーム出身だけど、これは例外中の例外。

大半のインディーゲームは数百本売れればヒットみたいなレベルで、仮に1,000円のゲームを100本売ったとしても10万円の売上にしかならない。さらにそこからSteamやAppleとかのプラットフォーム手数料がだいたい30%引かれるわけだし。

実際、個人開発に憧れてゲーム会社から独立する人はいるけど、数年間収入なしで開発を続けて、リリースしたとしても売れるかどうかわからないという世界だから、ほとんどの人は断念しているね。

——たまにネットで個人開発のゲームがバズってるけど、その裏に大量の売れていないゲームがあるってことか。じゃあ、やっぱりUEを使いこなして個人が稼ぐというのは不可能かな?

佐竹:1番の王道ルートはネットとかのいろいろなサイトを参考にして、ある程度UEを使えるようになって、3Dモデル制作の求人に応募することだけど、そういうこと以外で稼ぎたいんだよね。

たとえば、YouTubeとかを検索すると『Unityで制作したショートアニメ』とかもあるから、そういう方向性はあるかもしれないね。UEでも動画を作れるから、何かリアルっぽい3D動画を作るのであれば選択肢としてはありえるけど、UEを習得する労力に見合わないとは思うね。

——たしかにその通り。

佐竹:あと、UEやUnityには3Dモデルを販売するストアがあるから、自分が作った3Dモデルを売って稼ぐという方法はあるかもね。ただし、UEもUnityも無料でも優秀なアセットが大量に使えるから、よほど魅力的なものでない限りは売れないと思うよ。

残念だけど、これも素人が数日で作って稼ぐというのは現実的ではないかな。むしろそれくらいの実力がある人なら、個人のエンジニアとして企業から依頼を受けて働いた方がはるかに稼げるはず。

フォートナイトで数千万、数億円の収益を獲得?

——話を聞いていると、個人で3Dモデルを作って稼ぐというのは、かなり厳しい世界だとわかってきたよ。

佐竹:一応、せっかくだから少し夢がある話をしておくね。最近、『フォートナイト』でプレイヤーがカスタムコンテンツを作れる機能が盛り上がっていて、けっこうな数のクリエイターが数千万、数億円の収益を獲得しているみたいだよ。

このコンテンツ制作に使えるUEFN(Unreal Editor for Fortnite)というツールではUEの機能が大量に使えるから、UEでコンテンツを作れるならこれを狙うのもありかも。

——数億円!これは調べてみるしかない。

というわけで、さっそくUEFNについて調べてみた。

UEFNは2023年3月に『フォートナイト』やUEを運営しているEpic Gamesがリリースしたゲーム制作ツール。これを使えば、フォートナイトをベースにしたゲームを誰でも作れるというものだ。

制作できるのはフォートナイトの世界観の範囲ではあるが、独自のマップや独自のルールのゲームを制作可能。UEのさまざまな機能を使えるため、UEを使う能力があるほど、UEFNも自由自在に使えるというわけだ。

そして、ユーザーが作成したコンテンツへのアクセスや人気度に応じて、Epic Gamesが収益を分配する仕組みになっているという。なんと、フォートナイトの売上の40%がクリエイターに分配されるようになっているのだ。

Epic Gamesが今年5月に発表した概算によると、1年間で10万ドル(約1,400万円)以上を受け取るクリエイターが約400人。そのなかには、100万ドル以上を受け取るクリエイターも61人いるとか。企業や複数人のグループも多いようだが、かなり夢がある話ではないか。

3Dモデルの制作で稼ぐのは簡単ではないとわかったが、ゲームをプレイしつつそのゲームを応用して何かを開発するのであれば、趣味と仕事が同時にできるということになる。いちから3Dモデル制作を学ぶよりも、可能性がありそうだ。

しかし、筆者はフォートナイトを数回しかプレイしたことがない。というわけで、しばらくフォートナイトをプレイするため、自室に籠らせていただきます。

▶フォートナイト
Epic Gamesが2017年にリリースしたオンラインゲームで、クラフト要素のあるサードパーソン・シューティングゲーム。


Profile


◉赤川マコト
36歳、フリーランスのライター。とにかく小金を稼ぐことが好きで、本業以外にもYouTuber、Uber配達員、治験、潜入調査など、さまざまな仕事に手を出している。稼げるという情報を聞けばすぐに取り組むフットワークの軽さがウリ。


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