デジタル資産プラットフォーム・Aspen Digitalはアジアの暗号資産(仮想通貨)市場に関するレポートを17日に発表した。
レポートによると、現在アジアの富裕層など76%が暗号資産に投資しているようだ。これは2022年のKPMGと共同で発表したレポートにおける58%から増加した格好となる。
シンガポール拠点のSBI Digital Marketsと香港ファミリーオフィス協会の協力のもと、Aspen Digitalが作成したこのレポートでは、暗号資産に対する関心度合いが市場動向に大きく左右されていることが明らかになった。
レポートは、香港、シンガポール、日本などアジア諸国のファミリーオフィス、富裕層、資産運用会社約100社を対象にした調査にもとづいている。回答者の31%は、ビットコイン(BTC)の価格が2024年末までに10万ドル(約1,500万円)に達すると予測している。
Aspen DigitalのCEO、エリオット・アンドリュース(Elliot Andrews)氏はレポートで「個人資産部門では、暗号資産が投資可能な資産クラスであるかという議論から、ポートフォリオのどれくらいの割合を割りあてるべきかへと大きく変化した。今年発売されたばかりの暗号資産現物ETFは、史上最も急速に成長している。また、少数の機関投資家にしかまだ採用されていないが、暗号資産の資産クラスに多大な正当性を与えている」と述べた。ビットコイン現物ETFやイーサリアム現物ETFの登場によって、投資家心理に変化が訪れていることを示唆した。
機関投資家はRWAトークン化に関心
SBI Digital MarketsのCOOであるCKオン(CK Ong)氏は、現在特にRWA(現実資産:Real World Asset)のトークン化に機関投資家が注視していると強調した。
同氏は、「多くの機関投資家がトークン化されたRWAの検討に関心を示した」と述べる一方、「ほとんどは、トークン化された製品を評価して受け入れるために必要なリスクとセキュリティのフレームワークを開発するためにまだ時間を必要としている」と述べ、普及に向けたハードルが依然として高いことに言及した。
Aspen Digitalは資産管理者が顧客に新興資産クラスへのアクセスを提供できるようにするデジタル資産テクノロジープラットフォーム。1つのプラットフォームを通じて、資産管理者と顧客は、取引所、ステーキングプロバイダー、仕組み商品、カストディなど、さまざまな取引相手とつながることを可能とし、管理者がエコシステムを理解することをサポートする。
Aspen Digitalは、2021年にEverest Venture GroupとTTB Partnersが共同で香港に設立し、Rothschild Family、Liberty City Venturesなど著名なアジアのファンド、シングルファミリーオフィス、マルチファミリーオフィスなどの投資家の支援を受けている。
SBI Digital Marketsは日本を代表する金融企業・SBIグループのデジタル資産部門であるSBIデジタルアセットホールディングスの子会社。日本最大の証券口座顧客ベースと2番目に大きな取引市場を持つSBIグループは、アジアとヨーロッパの主要市場をふくむ25ヵ国にグローバルネットワークを展開している。
参考:Aspen Digital
画像:発表
関連記事
SBIとチリーズが戦略的パートナーシップを締結 日本で合弁会社を設立へ
SBI、Web3.0新興企業向けに1,000億円規模のファンドを設立