米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が、今年11月の大統領選での再選を見据え、本格的に暗号資産(仮想通貨)支持に方向転換する可能性が浮上した。29日、米暗号資産メディア・The Blockが関係者の話として報じた。
報道によると、バイデン大統領は「暗号資産コミュニティと暗号資産政策の前進」に関する専門知識を求め、関係者に詳しい話を聞くべく暗号資産業界に接触を求めたという。
この取り組みはバイデン政権の暗号資産業界に対するアプローチの顕著な変化を示しており、暗号資産を含むデジタル資産に理解を示し始めていることをあらわしている。
バイデン陣営による専門家への接触は約2週間前に始まったようだ。バイデン陣営は、接戦になると予想される次期大統領選に暗号資産関連の問題が与える影響を重大なものであると認識し始めた。接触活動の一環として、バイデン陣営は暗号資産に精通したさまざまな人物にアプローチをしたという。
こうした動きは、「SAB第121号」と称される法案を巡りバイデン政権に対する反発が強まったことも背景にあるとみられる。この法案は金融機関による暗号資産カストディサービスの提供を実質的に妨げる可能性があり、物議を醸していた。
この法案は上下両院において撤回を求める議決案が可決されたものの、バイデン大統領は拒否権を発動する姿勢を示したため、これも政権に対する逆風を強める要因となった。
トランプ陣営の動向も影響
また、バイデン政権の暗号資産に対する姿勢の変化は、米大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ(Dnald Trump)前大統領が暗号資産を受け入れいる姿勢を急速に強めていることにも起因している。トランプ氏は今月21日、暗号資産による寄付を受け入れることも発表した。
トランプ氏は大統領在任時、暗号資産に対して懐疑的な姿勢を示していたことで知られるが、自身に対する支持を広げる一環で態度を改めている。
トランプ氏の陣営は暗号資産業界とつながりのある顧問の影響を受けたこともあり、暗号資産に対する見通しが前向きになったという。トランプ陣営の情報筋は「その方面に関して助言する非常に賢く、有能な人材がいる。その結果の一部はすでにみられており、今後数ヵ月でさらに成果が見込めるだろう」と明らかにしたようだ。
また、別の情報筋によれば、方針を転換させているバイデン陣営の働きかけは、米国の暗号資産業界から好意的に受け止められているという。しかし、業界関係者のなかにはこうした取り組みについて「すでに遅い」として懐疑的な声も出ているようだ。
参考:報道
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