ビットコイン、FOMC利下げ決定も乱高下　政策金利の舵取り困難極める

ビットコイン（BTC）は11日、一時94,000ドル（約1,465万円）を上回ったものの、その後下落した。記事執筆時点では90,000ドル（約1,400万円）を巡る攻防となっており、暗号資産（仮想通貨）市場では次なる材料を探る展開を迎えている。

重要視されていたFOMC（連邦公開市場委員会）は、市場予測通り0.25%の利下げを決定した。パウエル議長が会見で、雇用の伸びが鈍化していることについて触れたことを受け、ビットコイン価格は上昇した。しかし、インフレ率の高止まりを背景に今後の利下げについて様子見姿勢を強調したことでビットコインは下落。さらに、市場予測通り利下げが行われたことで事実売りが加速し、下落幅は拡大した。

また、パウエル議長は市場に対して「金融政策はあらかじめ決められた道筋にあるのではなく、会合ごとに判断していくことになる」と釘を刺したほか、今後の利下げについて労働市場とインフレ抑制のバランスを見極めた上での判断となることを示唆した。

今回の利下げを巡っては、FOMC内で対立が深まっていることが鮮明となった。9人が0.25%の利下げについて賛成したものの、3名が反対を表明した。ミラン理事は0.50%の大幅利下げを強調し、シュミッド、グールズビー両総裁が金利据え置きを主張した格好だ。ミラン理事は今年9月にFRB理事に就任し、さらなる金融緩和を望むトランプ大統領の強い意向を反映しているとされている。

また、参加者の政策金利見通しによれば、全19名のメンバーのうち6名が今回のFOMCでの金利据え置きを支持していたことが明らかになった。さらに、7名が2026年の利下げを見込まない意向が示され、改めて今回のFOMCのスタンスがタカ派的であったことが浮き彫りとなっている。

今後の動向については、2026年と2027年ともに0.25%の利下げが1回ずつ行われる見通しとなっている。しかし、利下げを巡る意見の相違を踏まえると、政策金利を巡る舵取りは一層困難を極めることが見込まれる。

なお、市場では2026年5月で任期満了となるパウエル議長の後任にも注目が集まっている。現在、トランプ大統領は次期議長の指名に向けて最終面接の準備を行うなど動きを加速させている。あらたな議長には即座の利下げを要求するものとみられ、トランプ大統領の意向を反映する積極財政派の人物が選定される公算が大きい。

一方、積極財政派の議長が誕生したとしても委員の意向を踏まえると即座の利下げ実現は困難との見方も強く、米国の政策金利を取り巻く見通しは不透明感が強い状況といえる。

画像：Shutterstock

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