米SEC(証券取引委員会)は10日、X(旧Twitter)においてビットコイン現物ETFを承認したと投稿した。しかし、これはSECのXアカウントが何者かによって侵害されたことによる虚報であった。
Xの調査チームによると、SECは二段階認証を設定しておらず、ハッキングによる侵害ではなかったという。何者かがSECのXアカウントに紐付けられた電話番号を使用してログインし、虚偽の投稿を行ったようだ。
現物ETF承認の一報を受け、ビットコイン(BTC)価格は一時47,500ドル(約690万円)ほどまで急騰したが、虚報とわかると急落。45,000ドル(約650万円)ほどまで下落する場面もあった。
記事執筆時点では46,000ドル(約670万円)ほどまで価格を戻しており、ビットコイン現物ETFの承認に向け高い期待感を示している。
SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は自身のXで、「SECのTwitterアカウントが攻撃を受け、不正なツイートが投稿された。SECはビットコイン現物ETFの上場と取引を認めていない」と言及した。
昨年10月にもビットコイン現物ETFを巡るフェイクニュースが報じられビットコイン価格は乱高下したことがある。しかし、今回は規制当局の管理体制に不備があったことによる虚報であるため、SECの信頼性を損なう格好になったといえる。
10日にも承認の可能性変わらず
依然として10日にもビットコイン現物ETFが承認されるとの予測に大きな変化はない。10日にはアーク(ARK)と21シェアーズ(21Shares)が申請したビットコイン現物ETFの審査期限を迎えることから、これらを含む複数のETFが承認される可能性があるとの見方が強い。
また、ゲンスラー委員長が連日にわたって暗号資産関連商品への投資に注意喚起を行っていることも承認に向けた期待に拍車をかけている。ビットコイン現物ETFを申請したヴァンエック(VanEck)などは、10日に承認された場合、早ければ11日にも取引を開始すると見込む。
刻一刻とビットコイン現物ETFの承認に向け動きが加速するなか、一部では承認後の事実売りを警戒する声もある。一方で、SECの虚報によりポジションが消化されたことから、当初の見込みよりも事実売りによる下落リスクが軽減したとの見方もある。
いずれにしても、ビットコイン現物ETFが承認された際には大きな価格変動がみられる可能性が十分に考えられるため市場の動向を注視する必要がある。
参考:ゲンスラー氏投稿
画像:Shutterstock
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