カナダの会計事務所KPMGとCAASA(カナダ・オルタナティブ資産戦略協会)が実施した調査によると、同国における機関投資家の39%が暗号資産(仮想通貨)に投資していることがわかった。
KPMGの調査結果によれば、暗号資産の市況回復、規制の明確さの向上、デジタル資産のあらたなイノベーションなどにより、カナダの機関投資家と金融サービス会社は暗号資産への投資を再開したという。
調査結果は65件の回答を得た。そのうち31件は機関投資家、34件は金融サービス機関であった。金融サービス会社には資産管理、資本市場、ウェルネスマネジメント、ファイナンシャルアドバイザー、商業銀行が含まれている。機関投資家は、ヘッジファンド、ファミリーオフィス、ベンチャーキャピタルなど多岐にわたるという。
調査によると金融サービスの回答者の50%が、2023年に少なくとも1種類の暗号資産商品、あるいはサービスを顧客に提供すると回答し、2021年から41%増加したという。一方、機関投資家の39%は、直接、または間接的に暗号資産に投資していると回答した。この割合は2021年の31%から増加した形となる。
KPMGのデジタル資産業務のパートナー兼共同リーダーであるクナル・バシン(Kunal Bhasin)氏はプレスリリースで「私たちの調査結果は、カナダの機関投資家や金融サービス機関の間で暗号資産が投資可能な代替資産クラスとしてますますみなされていることを示唆している」と言及。
また、「米国債の増加とインフレ率の上昇が、2023年の暗号資産上昇のきっかけとなった可能性が高く、投資家はヘッジや信頼できる価値の保存手段として機能する代替資産クラスを探している」と、機関投資家が暗号資産に投資を行う背景について語った。
今回の調査における回答者らは、「提供額の増加は暗号資産に対する顧客の需要に応えるための取り組みである」と述べた。調査によると、金融サービス回答者の約80%がサービス拡大の主な要因として暗号資産に対する需要をあげており、2021年の50%から増加した。
KPMGのデジタル資産業務の共同リーダーであるカリーム・サデク(Kareem Sadek)氏は「従来の金融機関は、顧客の需要を満たすために暗号資産サービスを提供する必要性をますます認識している。しかし、それでもカナダの大手金融機関は、暗号資産企業に商業銀行サービスをさらに提供する前に、暗号資産によってもたらされるマネーロンダリング対策や金融犯罪に関連する課題にもっと知識を深める必要があるだろう」と注意喚起した。
調査によると、機関投資家の半数が、直接的に保有したり、カナダの暗号資産現物ETF、クローズエンド型信託、そのほかの規制商品への投資など、さまざまな戦略を採用している。58%はトロント証券取引所に上場するギャラクシー・デジタルなどの株式を通じて投資をしているという。
また、2021年2月、カナダは世界で初めてビットコインETFとイーサリアムETFを承認したことが、カナダの投資家を暗号資産に惹きつけることになったと指摘した。さらに、今年1月米国でビットコイン現物ETFが承認されたことは「この業界において大きなマイルストーンとなった」とし、今年はさらに投資が増加するであろうと述べた。
参考:調査結果
画像:Shutterstock
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