欧州のデジタル資産運用企業コインシェアーズ(Coin Shares)は16日、暗号資産(仮想通貨)ETFに特化した投資顧問企業ヴァルキリー・ファンド(Valkyrie Funds)をヴァルキリー・インベストメント(Valkryrie Investments)から買収すると発表した。
声明によると、ヴァルキリー・インベストメントからヴァルキリー・ファンドを買収する契約は16日から2024年3月31日の期限まで有効であるという。
さらに、コインシェアーズとヴァルキリーは、ヴァルキリー製品のブランドライセンス契約も締結した。この契約では、ヴァルキリーが指定した投資商品、規制申請にコインシェアーズの名前を使用する許可を持つことが可能となるという。
注目すべき点は、投資商品のなかに現在保留中のビットコイン現物ETFがあることだ。
コインシェアーズは「契約期間中、ヴァルキリー・インベストメントは、SEC(米証券取引委員会)へのフォームS-1にコインシェアーズの名前を使用するための限定的かつ取り消しが可能なグローバルライセンスが付与される。SECがヴァルキリー・ビットコイン・ファンド(ビットコイン現物ETF)を承認した場合、ヴァルキリー・インベストメントはコインシェアーズの名前を組み込む予定で、これはコインシェアーズが米国市場で暗号資産の投資商品を提供する初の事業となることを意味する」と声明で述べた。
本契約が締結されることによりコインシェアーズは米国に進出することになる。
契約締結期限の2024年3月31日までヴァルキリーは独立した事業体として運営を継続されるという。
コインシェアーズの米国進出は加速か
コインシェアーズのCEOであるジャンマリー・モグネッティ(Jean-Marie Mognetti)氏は「2015年以来、ヨーロッパで暗号資産現物ETFがリリースされており、この動きは米国でも反映されようとしているが、今回の取り組みでは完璧な一例となることだろう」とコメント。
「市場の進化におけるこの差は課題と大きな機会の両方をもたらす。ヴァルキリーを買収する選択で、コインシェアーズは米国市場への進出とデジタル資産管理の専門知識を得ることになった」と続けた。
また、ヴァルキリーのCEOであるレア・ワルド(Leah Wald)氏は「今回の契約はデジタル資産市場の成長とイノベーションを推進するというヴァルキリーのビジョンと一致している」と述べている。
今回の発表を受け、今後コインシェアーズの米国進出は加速する可能性がある。ブルームバーグのETFアナリスト、ジェイムス・セイファート(James Seyffart)氏は、「この契約でコインシェアーズは米国に一気に進出するだろう」との見解を示した。
ヴァルキリーはフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)やブラックロック(BlackRock)などと並び、ビットコイン現物ETFを申請している企業の1つだ。
なお、SECは依然としてビットコイン現物ETFの承認について判断を示していない。SECは先日、ハッシュデックス(Hashdex)が申請したビットコイン現物ETFの判断について延期を発表している。
参考:発表
画像:Shutterstock
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