米国地方裁判所のキャサリン・ポーク・ファイラ(Katherine Polk Failla)判事は先月28日、SEC(米証券取引委員会)との裁判で米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が求めていた棄却申し立てを却下した。
これにより、SECとコインベースによる係争は継続することとなる。
この裁判はコインベースがSECに未登録ながら、取引所やブローカー、清算等のサービス運営を行い、ステーキングサービスなどを通じて有価証券を提供及び販売していたことについて争っているものだ。コインベースは「SECが議会から与えられた権限を逸脱している」と主張していた。
あわせて、裁判所は「SECが行政手続法(APA)に基づく有価証券とみなされる暗号資産に関する規制制定を怠っている」というコインベースの訴えも却下した。裁判所は意見書で、「SECはあらたな規制当局を創設しているのではなく、むしろ既存の基準の事実を重視した適用に取り組んでいる」と主張している。
さらに、コインベースによる取引所、ブローカー、清算等のサービス運営を違法とするSECの訴えについて「(SECは)十分主張していた」と述べた。これにより、裁判所がコインベースの一部サービスを証券法違反としてみなす可能性が強まったといえる。
一方で、コインベースがユーザーに対しウォレットアプリを提供した際に未登録のブローカーとして運営されていたというSECの主張は退けられた。
不利な展開である一方でポジティブな見方も
今回の裁判所による決定はコインベースにとって不利な展開い働く可能性がある。その一方で、コインベースのCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は「SECの裁判に大きな進展があった。セルフカストディアルウォレットに大きな勝利がもたらされた」とポジティブなコメントを残した。
同氏は「今回の決定でオンチェーン・エコシステムは世界中で革新を続け、経済的自由を創出し続けることが可能となった」と述べ、「我々は暗号資産を使用する権利とルールを明確にするために、仕事が終わるまで戦い続ける」と語っている。
今後、コインベースとSECは今月19日までに訴訟管理計画案を提出する必要がある。
参考:判決文、アームストロング氏X
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