自民・公明両党は20日、2025年度の税制改正大綱をまとめ発表した。
最大の焦点となっていた「103万円の壁」については、自民・公明両党が国民民主党に提案した123万円まで引き上げると明記された。国民民主党は兼ねてより主張していた178万円までの引き上げに関する議論が進まなかったことを受け、協議を打ち切る方針を打ち出しているが、与党側は引き続き調整を進めたい意向を示している。
また、Web3.0業界を中心に注目が集まっていた暗号資産(仮想通貨)に関する税制改正については、「見直しを検討する」と明記された。直近2年で企業保有の暗号資産に関する税制改正は、税制改正大綱にも記載され実現してきた。しかし、依然として個人を対象とする暗号資産の税制を巡っては整理しなければならない課題があるとし、改正に向けた具体的な時期については明記されなかった形だ。
なお、税制改正大綱には下記のように記載されている。
「暗号資産取引に係る課税については、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法のなかで位置付け、上場株式等を始めとした課税の特例が設けられているほかの金融商品と同等の投資家保護のための説明義務や適合性等の規制などの必要な法整備をするとともに、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、その見直しを検討する」
記載された内容を踏まえれば、暗号資産の税制改正について議論を本格化させていくことがうかがえる。
税制改正大綱への記載は、次年度の税制改正に向けて極めて重要なものとなる。暗号資産税制については現時点で「検討」の表記にとどまっているため、実現に向けた具体的な時期などは不明瞭ではあるものの、これまで以上に改正向けた機運は高まっている。一方、今回においても暗号資産の税制改正ついて飛躍的な進展がみられたわけではないことから、業界としては不満が残る内容であったともいえる。