27日、中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」のアプリケーションが米国のアプリストアで無料ダウンロードランキングの首位を獲得。AI市場の既存の勢力図に大きな変化をもたらした。
このニュースを受けて、「NVIDIA(エヌビディア)」の株価が一時17%急落したことは象徴的である。時価総額で約6,000億ドル(約92兆円)が一時的に失われ、これはNVIDIAにとって過去最大の下落幅である。
27日の米株式市場ではAIインフラ関連とされる銘柄が軒並み売られ、28日午前の日経平均株価もつられて続落、前日比の下げ幅は一時600円を超えた。暗号資産市場にもその流れが波及、リスクオフの動きがみられ、ビットコインは105,000ドル(約1,640万円)から97,600ドル(約1,510万円)付近まで7%近く下落した。
この市場の反応は、DeepSeekが低コストで高性能なAIモデルを開発していることが、NVIDIAのような高性能チップメーカーへの需要減少につながる可能性を示唆している。さらに、NVIDIAの既存技術に対する投資家の信頼感が揺らいだことが、株価下落を加速させた。
DeepSeekの台頭は、AI業界における中国企業の存在感を一層強めた。これに対し、米政府の技術輸出制限がどの程度効果を発揮するかが焦点となる。トランプ大統領が同日、外国からの半導体チップに関税を課す意向を示したことも、AI市場にあらたな波紋を広げた。
この関税政策は、米国内での半導体生産を促進する狙いがあるが、製品価格の上昇を引き起こし、消費者や業界に負担を与える可能性も危惧されている。