イーサリアム(ETH)の次期大型アップグレード「デンクン(Dencun)」が31日、3つのテストネットワークのうち2番目にあたる「セポリア(Sepolia)」実装され稼働した。
イーサリアム財団のDevOpsエンジニアであるパリソシュ・ジャヤンティ(Parithosh Jayanthi)氏はX(旧Twitter)に「現在、セポリアにブロブ(BLOB)が流れている。テストネットフォークの状態は最適だ」と投稿した。
イーサリアムのアップグレードを巡っては、1月初旬に最初のテストネットワーク「ゴエリ(Goerli)」においてデンクンが実装された。ゴエリではアップグレードの完了を妨げるバグが発生し、稼働までに約4時間の遅れが生じた。
3番目のテストネットワーク「ホレスキー(Holesky)」でのデンクン実装は今月7日を予定している。ホールスキーでの実装が成功した後、イーサリアムはメインネットのおけるデンクン実装日を設定する予定だ。
アップグレードで手数料の大幅削減に期待
イーサリアム財団の公式発表で概要が説明されているように、デンクンではイーサリアムのコンセンサス層と実行層に対する大幅な変更が含まれている。
特に注目を集めているのが「プロトダンクシャーディング(Proto-Dansharding)」と呼ばれる機能で、イーサリアムのレイヤー2からの取引手数料に大きな影響を与えることになる。これは「ブロブ」と呼ばれるデータ圧縮メカニズムを導入することで、取引手数料(ガス代)を大幅に削減し、スケーラビリティを大きく向上させることを目的としている。
ブロブに保存されたデータはEVM(イーサリアム仮想マシン)からアクセスできず、一定期間が経過すると削除される。これにより、効率的なデータ転送を可能にするほか、取引手数料が大幅に削減されると期待されている。
イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はコミュニティの説明文のなかで「ブロブは非常に大きい(約125KB)ため、同様の量の通話データよりもはるかに安価になる可能性がある」と述べている。
プロトダンクシャーディングが実装されることで、イーサリアムの存在感は一層増す可能性がある。
ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)の研究者、クリスティーン・キム(Christine Kim)氏はXで「今日のセポリアでの順調な進行状況に基づくと、3月にメインネットでデンクンがアクティブ化される確率は、60%から70%になったといえる」と言及。「来週のホレスキーでのアップグレードもスムーズにいけば、そのオッズはさらに高まるばかりだ」と続けた。
参考:ジャヤンティ氏X、キム氏X
画像:Shutterstock
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