米ウォルト・ディズニー社(以下、ディズニー)は、VR歩行デバイス「Holo Tile(ホロタイル)」を発表した。歩いてはいるが、その場から進まないという不思議な床だ。これにより、ユーザーは衝突することなく、VR空間を共有でき、任意の方向に自由に歩くことが可能となる。臨調感溢れる仮想現実と、拡張現実の体験を実現するものとして注目されている。
仮想空間においてあらゆる人や物体を移動できる、世界初の多人数用全方向トレッドミル・グラウンドと呼ばれるこのホロタイル。六角形の床はボタンくらいの構成物質が表面に覆い尽くされている。平面あるいは側面を切り替え、まるで歩行しているかのような感覚を味わうことができるようだ。
ホロタイルはディズニー研究員であり、ウォルト・ディズニー・イマジニアリング・リサーチ&ディベロップメントのラニー・スムート氏が開発した。
彼はウォルト・ディズニーで30年間多数の業績を残し、全米発明家の殿堂入りも果たしている。
ホロタイルは仮想現実、拡張現実のゲームと体験のために開発されたという。ユーザーが仮想空間でゲームをプレイすると、トレッドミルと呼ばれる機能が付いた床がユーザーを動かし、あたかも本当に歩行したり、走ったり、空間を移動しているように感じさせる。
床は絶対に静止せず、絶えず動いているため、床の表面に衝突したり、床から離れたりすることなく、好きな方向に自由に歩くことが可能。VRやARの用途とは別に、ディズニーのホロタイルは劇場の舞台に設置することも可能なため、たとえばパフォーマーが創造的な方法で踊ったり、動いたりすることもできるなど用途は多岐にわたる。また、舞台の小道具や構造物を勝手に動かしたり、状況に応じてステージに突然出現させたりすることもできる。
ラニー・スムート氏はホロタイルがどのように機能するか説明した動画も公開されている。彼が椅子に座ると、まるでアラジンの魔法のじゅうたんに乗っているかのようで、スタッフが手をあげてスムート氏の動きを制御している様子もおさめられていた。
この画期的な発明は業界でクリエイティブな利用を促す一方で、具体的なリリース日やVR・ARゲーマー向けに商品化されるかどうかはまだ不明なプロジェクトではある。
スムート氏は「何人か同じ部屋にいて、どこか別の場所にいて、共同で動き回ったり、見たり、観光することを想像してみてください。ダンサーが素晴らしい動きができるように、ホロタイルが埋め込まれた劇場の舞台を想像してみてください。この種のテクノロジーには非常に多くの用途があります。それがどこで使用されるのか良い意味で想像もつかない」と述べた。
近い将来、自宅や近くの劇場でディズニーランドのパレードやアトラクションを楽しむことも可能になりそうだ。
参考:THE WALT DISNEY COMPANY
画像:THE WALT DISNEY COMPANY、Shutterstock
関連記事
ディズニー、ダッパーラボとNFTマーケットプレイス「Disney Pinnacle」をローンチ
次世代技術がエンタメ業界を変える! 最新Web3.0活用事例をピックアップ