イオレは14日、暗号資産金融事業の戦略発表会を開催し、AIとブロックチェーンを統合した「ネオクリプトバンク構想」を正式に発表した。
資産の保管・運用・決済・送金・外部接続をワンストップで実現する“スーパーアプリ”を中核に据え、国内キャッシュレス決済市場の1%獲得(取扱高で約1.2兆円)を2027年末までの目標とする。
代表取締役社長兼CEOの瀧野諭吾氏は、日本のテクノロジー実装が“守り”に傾き、信頼設計を伴う新基盤づくりが遅れていると指摘した。急速な円安・物価高の中、米国や中国ではデジタル資産を基盤とした金融再構築が進行しているとし、日本も「与えられる側」から「作る側」に回るべきだと強調した。
イオレ社は暗号資産を単なる保有対象ではなく、事業のための財務戦略として活用し、その上にあらたな経済インフラを構築する企業であると位置付けている。
具体的な取り組み
同社が掲げるネオクリプトバンク構想の中核は、Web3.0領域のスーパーアプリ開発である。セルフカストディ(自己管理)を前提に、資産保全、運用、国内外の決済・送金、外部サービス連携(配信、宿泊チェックイン、EC利用など)を統合。
AIによるレコメンデーション機能を活用し、ユーザーが最適な運用・購買・支払いを一貫して行える世界を目指す。
事業は4段階で進行する。まず暗号資産を財務資産として保有する「デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)」を構築し、続いて貸付を行う「レンディング(DAL)」、運用を強化する「マネジメント(DAM)」、そして社会実装フェーズとなる「ユーティライゼーション(DAU)」へと展開していくようだ。
提携面では、暗号資産による決済カードを展開するSlash Vision(スラッシュビジョン)と協業し、ウォレット資産を日常決済に直接接続する“ダイレクト決済”を構想。
また、レンディング分野においては「BitLending」有するJ-CAMとの連携により、運用と決済がNCBC内で完結する仕組みを整える。
さらに、暗号資産交換業を担うFINX JCryptoとの提携では、規制対応と流動性確保の両面を強化し、個人主権型認証基盤を持つUPBOND、フィンテック企業ZUUとも協働するなど、幅広い事業連携が進行している。