イオレ、「ネオクリプトバンク構想」を正式発表

2025/10/14 16:00 (2025/10/30 14:47 更新)
Noriaki Yagi
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イオレ、「ネオクリプトバンク構想」を正式発表

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AI×ブロックチェーンで“デジタル社会の信頼を再設計”、キャッシュレス市場の1%獲得を狙う

イオレは14日、暗号資産金融事業の戦略発表会を開催し、AIとブロックチェーンを統合した「ネオクリプトバンク構想」を正式に発表した。

資産の保管・運用・決済・送金・外部接続をワンストップで実現する“スーパーアプリ”を中核に据え、国内キャッシュレス決済市場の1%獲得(取扱高で約1.2兆円)を2027年末までの目標とする。

代表取締役社長兼CEOの瀧野諭吾氏は、日本のテクノロジー実装が“守り”に傾き、信頼設計を伴う新基盤づくりが遅れていると指摘した。急速な円安・物価高の中、米国や中国ではデジタル資産を基盤とした金融再構築が進行しているとし、日本も「与えられる側」から「作る側」に回るべきだと強調した。

イオレ社は暗号資産を単なる保有対象ではなく、事業のための財務戦略として活用し、その上にあらたな経済インフラを構築する企業であると位置付けている。

具体的な取り組み

同社が掲げるネオクリプトバンク構想の中核は、Web3.0領域のスーパーアプリ開発である。セルフカストディ(自己管理)を前提に、資産保全、運用、国内外の決済・送金、外部サービス連携(配信、宿泊チェックイン、EC利用など)を統合。

AIによるレコメンデーション機能を活用し、ユーザーが最適な運用・購買・支払いを一貫して行える世界を目指す。

事業は4段階で進行する。まず暗号資産を財務資産として保有する「デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)」を構築し、続いて貸付を行う「レンディング(DAL)」、運用を強化する「マネジメント(DAM)」、そして社会実装フェーズとなる「ユーティライゼーション(DAU)」へと展開していくようだ。

提携面では、暗号資産による決済カードを展開するSlash Vision(スラッシュビジョン)と協業し、ウォレット資産を日常決済に直接接続する“ダイレクト決済”を構想。

また、レンディング分野においては「BitLending」有するJ-CAMとの連携により、運用と決済がNCBC内で完結する仕組みを整える。

さらに、暗号資産交換業を担うFINX JCryptoとの提携では、規制対応と流動性確保の両面を強化し、個人主権型認証基盤を持つUPBOND、フィンテック企業ZUUとも協働するなど、幅広い事業連携が進行している。

今後のスケジュール

スーパーアプリは2027年度のローンチを目標とする。2026年にかけてビットコイン運用商品やレンディング、暗号資産決済カードを順次開始し、2027年には統合型のアプリとして提供予定である。

先述した通り、取引回数・金額ともにキャッシュレス市場の1%を目標とし、取扱高では約1.2兆円規模を見込む。初期段階では500万回の決済を想定し、これに対応する流動性担保を20%と設定。最大160億円が必要になるとされ、今後それを賄うための資金調達を進める計画である。

財務面では2025年第3四半期から段階的にビットコインの購入を開始し、2027年末までに約43億円規模の暗号資産保有額を目指す方針も示されている。

質疑応答にて、レンディングサービスの詳細条件やKPIに関連する質問が飛んだが、関係法令・規制の整理を経て今期中に公表予定とした。

企業コメント

瀧野氏は「ブロックチェーン×金融領域で一定規模の存在感を示し、暗号資産で資産運用し決済する世界を当たり前にする」と語った。

Yugo Takino image

執行役員CCO兼暗号資産金融事業、事業責任者の花島晋平氏は、AIとスマートコントラクトを組み合わせた「決済トリガー型サービス」が拡大し、エスクローや自動返金などの機能が一般化すると見込む。

さらに、国内の推論用データセンターの構築・活用で、外資系クラウドに依存せず、低遅延かつ高セキュリティな金融基盤を提供できることを強調した。国内設置によって、データガバナンスと信頼性の両立を図る姿勢を示している。

Shinpei Hanashima image

パネルセッションでは、有識者からステーブルコイン制度整備の進展により「乗るか乗らないかではなく、どう乗るか」の段階に入ったとの意見が出た。上場企業による暗号資産保有・運用の拡大には、投資家への説明責任と資産負債管理(ALM)の徹底が不可欠であるとの見解も示された。

イオレはこうした議論を踏まえ、AIとブロックチェーンを融合させたあらたな社会インフラを提示する企業として、暗号資産金融の次世代モデル確立を目指していく構えである。

画像:イオレ

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