金融庁はゲーム開発等事業者が暗号資産を取り扱いやすくする仕組みづくりの議論に着手することを発表したと日経が報じた。
25日から始まる資金決済法の改正に向けた、金融審議会の作業部会で議論を開始する。議論の内容は弁済原資の確保といった負担が軽減されるなどの規制緩和とみられ、海外のようにゲーム内で暗号資産を使ってアイテムなどを購入できるようになる可能性がある。
現行法では、自社サービス内で暗号資産購入などを可能にするには、暗号資産交換業者の認可を得る必要がある。
資産管理や弁済原資の確保など、規制上の参入障壁が高く、このままでは暗号資産の取り扱いについて海外と比べて導入が進まない。
有識者会議では、利用者と既存の暗号資産交換業者を取り次ぐあらたなブローカー業を設立する案もあるが、第三者を加えることはユーザーに負担を強いることにもつながる。
事業会社による暗号資産の取り扱いを巡っては、自民党のデジタル社会推進本部が4月にまとめた要望書でも言及されており、業界内でも長らく規制緩和の要望がある要素だ。
自民デジタル社会推進本部Web3.0PT座長の平将明議員も講演等で、暗号資産の規制緩和を実施しないと海外にWeb3.0の有望な人材が流出すると述べ、懸念を示している。ただ、法規制の変更については各省庁の多くの職員を投入する必要があり、長期的な取り組みと高いモチベーションが必要であるため、実現へのハードルは高いという現状もある。
有識者会議の作業部会では、海外の暗号資産交換企業が破綻した際に国内利用者の財産の返還を法的に担保する仕組みなどを議論する。
また、金融庁は資金決済法の行政処分の規定に「国内資産保有命令」の追加を検討するとみられる。たとえば、破綻した大手暗号資産取引所FTXの場合、日本法人が金融商品取引法の登録を受けており、同命令を出すことができたものの、資金決済法の登録だけであれば難しかったのは事実だ。
ステーブルコイン規制の緩和も検討へ
金融規制は利用者の利便性を損ねたり、金融機関の使い勝手が悪くなる場合もある。
法定通貨の価値に連動するステーブルコインは2023年に発行可能となる制度を創設したが現状は低調。
発行額に相当する現預金を準備する必要があるため、一定の負担が業者には強いられる。海外では国債なども担保にできるため、その利息が利益になっている点は日本と異なるところだろう。
そこで金融庁は、現預金に加えて短期国債を認める方向で規制緩和を検討する。米国ニューヨーク州、英国などはすでに国債など安全資産での運用を認めている。このほか、利便性を損ねている規制も総点検し、必要な規制緩和も同時に検討する方針である。
参考:日本経済新聞
画像:Shutterstock
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