SEC(米証券取引委員会)が、グレースケール(Grayscale)社によるビットコイン現物ETFへの転換申請ついて再審査をしなければならないとの判決を受け、協議を始めたことがわかった。
8日、グレースケールの姉妹会社である海外Web3.0メディアのコインデスク(CoinDesk)が報じた。
関係者筋の話として、グレースケールはSECの取引・市場部門と企業金融部門の両方と協議に入ったとしている。SECの両部門は、グレースケール社のETF申請の策定と承認に役割を果たすことになる。
グレースケールはグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)を運営し、SECとの関係も良好だった。しかし、グレースケールは昨年、GBTCのビットコイン現物ETFへの転換を発表しSECに申請したが却下されている。これを不当とし、SECを直ちに訴えた。
これを受け、米ワシントンDC巡回控訴裁判所の3名の判事は8月、SECに対して再審査をすべきであるとの判決を下した。裁判所は、SECが承認したビットコイン先物ETFとビットコイン現物ETFに論理的にも物理的にも差がないことを指摘した。
グレースケール社は8月の判決の発表に先立ち、その数週間前にビットコイン現物ETFについて申請書を更新していた。
SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensle)委員長は9月の上院銀行委員会における公聴会で、「裁判所の判決をまだ検討している」と述べていた。また同氏は、先月には企業財務部門がフィードバックをし、貿易・市場部門が提出書類を検討していると語っている。
グレースケールの最高法務責任者のクレイグ・サーム(Craig Ther)氏はインタビューで、「トレーディングと市場との建設的な再関与について専念している」とした上で、「まだ解決しなければならないことが残っている。SECとは全体的に良好な関係にある」と述べた。
さらに、同氏はブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)など、ほかの金融機関が提出しているビットコインETFに関する申請も同様に進行中であることを指摘し、SECとの交渉で進展がみられるようだとも指摘している。
早ければ来週までにビットコイン現物ETF承認か
ブルームバーグのアナリストであるジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏も9日、現在申請されている12件のビットコイン現物ETFについて、「11月8日から11月17日の間に承認される可能性があるだろう」とコメントした。
同氏によれば、SECが申請されたETFの期限を複数延長した際、コメント期間を8日に設定したためだとしている。すべての申請について承認される可能性があるが、少なくとも最初の9件についてはいつでも判断を下すことができると指摘している。
参考:コインデスク、セイファート氏投稿
画像:Shutterstock
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