暗号資産(仮想通貨)運用企業グレースケール(Grayscale)は12日、XRP信託の開始を発表した。
これは投資家にXRPへの直接的なエクスポージャーを提供する「クローズドエンド」ファンドだ。
なお、XRPはグレースケールの発表を受け一時8%急騰し80円を超えた。
XRPは、ブロックチェーン決済企業リップルの越境取引を促進するXRP Lengerとして知られるブロックチェーンネットワークのネイティブトークンである。
信託とETFは異なる投資商品だ。ETFは個人投資家に直接販売されるため、米証券取引委員会(SEC)の承認が必要だ。信託の構造といわゆる認定投資家への売り込みは規制が比較的緩やかである。
それでも適切な規制承認を得れば、信託をETFへと転換できる。グレースケールの暗号資産投資信託のうち、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は今年、SECの承認を得てETFに転換された。
グレースケールは昨年、SECを相手取って、グレースケール・ビットコイン・トラストを現物ETFに転換する許可を求めて訴訟を起こした。このことはウォール街に暗号資産現物ETFを導入することに貢献したと評価されている。
グレースケールは訴訟で勝訴し、ブラックロック、フィデリティ、ウィズダムツリーなどのウォール街大手金融企業が次々とビットコイン現物ETFを立ち上げた。
1月に11のビットコイン現物ETFがローンチされ、いずれも成功をおさめている。
その約4ヵ月後、SECは世界第2位の暗号資産であるイーサリアムの現物ETFの立ち上げを承認した。
XRPを所有する個人投資家たちはビットコインやイーサリアムの発売、そして最近のソラナ(SOL)現物ETFの申請件数を受けて、グレースケールやブラックロックのような資産運用会社がXRP現物ETFの申請を提出することを待ち望んでいる。
ソラナは時価総額で第5位の暗号資産であり、XRPは現時点で7位だ。
XRPには個人投資家の愛好家が多い。潜在的なXRP現物ETFによって事態を不確実にしているのは、SECがXRPのトークンの規制上の位置付けについてどのように検討しているのか不明確であることにある。
SECはリップルと長く法廷闘争を続けている。2020年、SECはリップルが証券であるとしてXRPの販売をSECに登録しなかったとして訴訟を起こした。
リップル社が部分的勝利
昨年、マンハッタンの判事はリップルによる機関投資家へのXRPの販売は証券取引としてみなされる可能性があるが、個人投資家に販売された場合はそうでないとの判決を下し、リップルに部分的な勝利を与えた。
この判決は全国の法廷でほかの判事たちによる議論を巻き起こし、リップル社はこれらの機関投資家により売却に対して1億2,500万ドル(約176億円)の罰金の支払いを命じられた。
SECは流通市場に関する判決に対して控訴できる期限を10月の第1週まで残しており、控訴するのではないかとみられている。
参考:Gray Scale
画像:Shutterstock
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