米リップル(Ripple)社は4日、米ドルに連動したステーブルコインを発行することを発表した。このステーブルコインはXRPレジャー(XRPL)及びイーサリアム(ETH)上で発行するとしており、今年後半に発行を予定しているという。
米ドル連動型のステーブルコインは現在、テザー(Tether)社が手がけるUSDTと、サークル(Circle)社が発行するUSDコイン(USDC)の独占状態にある。現時点で1,500億ドル(約22兆円)に及ぶステーブルコイン市場にリップル社が挑戦する。
発表によると、リップルが発行するステーブルコインは、同社が準備金として保有する米ドル預金、米国債、現金同等物の資産と常に1対1で裏付けられるという。準備金については毎月公開されている月次認証報告書に記載する予定だ。なお、第三者の監査会社については現時点で明らかにしていない。
リップルはまず米国でステーブルコインを発行するが、今後の戦略として欧州やアジアなどの市場でも発行する予定だという。テザー及びサークルをライバルとして位置付け、事業に注力していく。
リップルのCEOであるブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は、CNBCのインタビューに対して「競争にひるむつもりはない」と述べた。また、「ステーブルコイン市場は将来的に規模に応じて違ったものとなるだろう」と語っている。
同氏によると、リップルはUSDTやUSDコインにおいて一時的にデペッグが生じる状況を受け、ステーブルコイン市場に参入することを決定したという。ガーリングハウス氏は「我々こそが安全かつ安定したドル連動型ステーブルコインを発行、運営できるのだ確信し、使命感を抱いた」と述べている。
さらに、「米国のステーブルコイン市場のリーダーについて若干の不確実性がある」と述べ、具体名こそあげなかったものの、現状のステーブルコイン領域を取り巻く状況に注文をつけた格好だ。
XRPエコシステムを補完する存在に
ガーリングハウス氏は、今後リップル社が決済トークンとしてXRPを拡大していく方針であることを強調したほか、発行を予定しているステーブルコインが「(XRPのエコシステムにより)補完的な製品として機能する」と主張した。また、今回明らかにしたステーブルコインについては「コミュニティからのリクエストにも応える形」と付け加えている。
現在、リップル社はSEC(米証券取引委員会)との間でXRPの有価証券問題を巡る問題で係争中だ。これがステーブルコインの発行において障害になるとみる声も一部であがっている。
参考:リップル社発表、CNBCインタビュー
画像:Shutterstock
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