米民主党下院議員のロ・カンナ(Ro Khannna=カリフォルニア州)氏は主催した暗号資産業界幹部らとの会合後、今後数週間以内に、暗号資産の合理的な規制への道筋を示すロードマップを含む前向きな声明を発表することを期待すると述べた。
7月10日、ロ・カンナ氏は暗号資産業界の重鎮らと民主党カマラ・ハリス(Kamala Harris)氏の大統領選挙キャンペーンリーダー達とのズーム会議を主催した。
このズーム会議は、バイデン政権の金融規制当局が実施した大規模な規制強化の標的となった暗号資産業界との争いの多い選挙の年の間に和解を図ることを目的とした。
民主党は、ハリス氏が暗号資産業界を支持する姿勢に転換し、米国を世界の暗号資産の中心にすると主張した共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領から暗号資産業界の支持を取り戻すことを支援しようとした。
会議には約20人が参加した。政府からはバイデン政権の高官であるワリー・アデイェモ(Wally Adeyemo)財務副長官、ラエル・ブレイナード(Lael Brainard)国家経済会議議長、ブルース・リード(Bruce Reed)大統領首席補佐官代理、ハリス氏の上級顧問、クリスティン・ルシウス(Kristine Lucius)氏が参加した。
暗号資産業界からは、暗号資産投資家のマーク・キューバン(Mark Cuban)氏、スカイブリッジ・キャピタルの創設者アンソニー・スカラムチ(Anthony Scaramucci)氏、ベンチャーキャピタリストのロン・コンウェイ氏、リップル社のブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)CEO、コインベース社ポール・グレワル(Paul Grewal)最高法務責任者、ユニスワップ社のヘイデン・アダム(Hayden Adams)CEOなどの暗号資産企業の幹部らが出席した。
会議ではSEC(米証券取引委員会)やFRB(連邦準備制度理事会)などの政府機関による規制攻撃をめぐってホワイトハウス当局者らは激しく非難されたという。
会議は業界の幹部らがバイデン政権下で受けた不当な扱いについてホワイトハウス高官に不満をぶつけた先月のワシントンDCでカーナ氏が主催した円卓会議の再現のようだったという。
緊迫した会議
ただ、幹部らはデジタル資産に対する行動が暗号資産業界と民主党にどれほどの損害を与えたかを遠慮なく伝えた。その不満を政府幹部らは重く受け止め、また受け入れた。
たとえば、コインベースの初期投資家のコンウェイ氏は政権が暗号資産業界に対して空約束しかしていないことに不満を示し、アデイェモ氏は出席者に対して銀行や規制当局は暗号資産業界を金融システム全体から切り離そうとしているわけではないと述べたとき、暗号資産業界の幹部がホワイトハウスの政策により銀行サービスの提供を拒否された企業があるかどうか参加者に挙手することを求めた際には業界のほぼ全員が手を上げるなど緊迫した瞬間もあったという。
こうした会議を踏まえて、カンナ下院議員は「今後数週間以内に、合理的な規制への道筋を示すロードマップを含む前向きな声明を発表することに期待します。そうすればこれらの企業は国の法律を遵守し、米国で革新を起こし、何百万人もの雇用を創出し、これが超党派の問題になることを確実にすることができます。この技術は21世紀とデジタル経済を勝ち抜くための中核を成すものです」と主張した。
民主党の暗号資産支持派による声明でハリス陣営も前向きになるであろうことは間違いない。今や暗号資産業界を味方につけるかどうかが選挙のカギとなっているからだ。
参考:Ro Khanna氏
画像:Shutterstock
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