北國銀行は1日、同行が発行する預金型ステーブルコイン「トチカ」の提供を開始すると発表した。発表によれば、ブロックチェーンを利用し預金資金を裏付け資産とする預金型ステーブルコインの発行は日本初となる。
北國銀行はDigital Platformer社と共同でデジタル地域通貨サービス「トチツーカ」の提供を昨年10月より行なっており、自治体が発行するポイント「トチポ」が利用可能となっている。今回の発表により、トチツーカを通じてトチカを利用することも可能となった。
トチカはトチツーカアプリ上でチャージ用銀行預金口座の登録等を行うことで口座を開設することができる。開設後、登録した銀行預金口座からチャージすることで、1トチカ=1円として、トチツーカ加盟店での支払いに利用することが可能だ。加盟店側の手数料は0.5%と非常に安価に設定されている。
今後、北國銀行は石川県内の多くの住民が利用できるよう他金融機関の預金口座を通じたチャージ連携を進めていく方針だ。
また、ユーザー同士がトチカを送りあえる個人間送金機能についても2024年内に実装するという。さらに、石川県外における預金型ステーブルコインの発行及び導入にも協力していくと述べており、全国の地域で互いのサービスが利用できる利便性の高いキャッシュレス環境を実現していくと説明した。
トチカとトチポの違い
今回発行されるトチカと、先行してリリースされているトチポにはいくつかの違いがある。
まず、トチカは北國銀行が発行主体のデジタルマネーであるが、トチポはあくまでも自治体が発行主体となるポイントという点が大きく異なる。そのため、トチカは換金が可能だが、トチポはそれが不可となっている。
さらに、トチカはトチツーカ加盟店で利用が可能だが、トチポは自治体内の加盟店が対象となる。なお、ともにマイナンバーカードによる本人確認が必要な点は変わらない。
▶︎トチカとトチポの比較:発表より引用
トチカ及びトチポの発行構想は昨年4月に発表された。昨年6月に改正資金決済法が施行されたことで、2024年は多くの金融機関などからステーブルコインが発行される見込みだ。
北國銀行が発行したトチカはその先駆けとなり、今後モデルケースとしてさらに注目を集める可能性がある。
参考:発表
画像:Shutterstock
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