韓国において、暗号資産(仮想通貨)への投資が活発になっている。7日、多くの国の暗号資産取引所においてビットコイン(BTC)は67,000ドル(約990万円)前後を推移していたが、韓国の暗号資産取引所ではドル換算で約72,000ドル(約1,065万円)ほどを記録する場面がみられた。
韓国と他国の暗号資産取引所との間で発生する価格の乖離は通称「キムチプレミアム」と呼ばれ、暗号資産市場では古くよりみられてきた現象だ。
韓国では資本規制の関係で外国人による売買は実質的に制限される。そのため、こうした価格の乖離は韓国における個人投資家の需要増を示す指標にもなっている。
オンチェーン分析を行うクリプトクアント(CryptoQuant)のキ・ユンジュ(Ki Young Ju)氏はX(旧Twitter)で「韓国の個人投資家が戻りつつある」と指摘した。ユンジュ氏は韓国と他国の暗号資産取引所におけるビットコイン価格の乖離を指数化した「Korea Premium Index」を引用し、過去2年間で最も高い10%ものプレミアをつけていると報告している。この数値が高いほど、個人投資家による投資が活発であることを示す。
暗号資産投資への関心が高い韓国
韓国は国民の暗号資産への興味関心が高いことで知られる。近年は暗号資産取引所に対してライセンス制を導入し、今年7月にも投資家保護に焦点を当てた法律の施行を控えるなど、市場整備に注力する姿勢があらわれている。
韓国の個人投資家による投資が活発になった背景には、米国において承認されたビットコイン現物ETFの存在が大きい。
FSC(韓国金融委員会)は今年1月、韓国の証券会社による米国のビットコイン現物ETFの取り扱いについて、規制に反する可能性があるとし禁止を勧告した。
しかし、その後は韓国においてもビットコイン現物ETFの取り扱いを可能にすることを含め、規制の見直しが示唆された。
また、最近の価格上昇によるFOMO(取り残される恐怖)が加速したこともビットコインへの投資を後押しした形だ。
与党は公約に暗号資産規制の見直し盛り込む
また、韓国与党・国民の力が今年4月に予定されている総選挙のマニフェストに。暗号資産関連の施策を盛り込んだことも拍車をかけた可能性がある。
一連の公約ではビットコイン現物ETFやIEO、そして企業による暗号資産投資に関する規制を見直すとしており、韓国の暗号資産ユーザーにとっては非常にポジティブな動きであるといえる。
さらに、2025年1月より施行予定の暗号資産課税についても延期することを提案しており、これによりさらに暗号資産への投資が加速する可能性がある。
参考:ユンジュ氏投稿
画像:Shutterstock
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