2024年第1四半期の暗号資産(仮想通貨)における取引高で、韓国ウォン(KRW)が米ドル(USD)を上回り世界トップとなったことがわかった。調査会社カイコ(Kaiko)のレポートによって明らかになった。
背景として、韓国では暗号資産取引所の手数料競争が激化しており、手数料の無料キャンペーンを実施する取引所が多いことが理由としてあげられている。
レポートによると、2024年第1四半期の中央集権型暗号資産取引所における韓国ウォンの累計取引高は4,560億ドル(約70兆5,000億円)に達した。その一方で、米ドルの取引高は4,450億ドル(約68兆8,000億円)だった。
カイコは「マクロ経済環境の改善と韓国の暗号資産取引所間の熾烈な競争により、同国の暗号資産市場の取引量は増加し、3月上旬には2年以上ぶりの最高水準にまで達した」と分析している。
韓国の大手暗号資産取引所アップビット(Upbit)は、2021年初頭以来、国内暗号資産市場で82%ものシェアを占めている。これに対し、ビッサム(Bithumb)などほかの暗号資産取引所は追いつくべく対抗している。
ビッサムにおいては、昨年10月に手数料無料キャンペーンを実施した後、市場シェアが3倍に拡大したという。一方で、こうしたキャンペーンにより取引高は増加したものの、収益にはつながっていないようだ。ビッサムは2023年の年間収益が60%減少するだろうとの見立てを報告している。結果的に同取引所における手数料無料キャンペーンは2024年2月初めに終了した。
なお、レポートによれば3位はユーロで590億ドル(約9兆1,000億円)、4位がトルコリラで500億ドル(約7兆7,300億円)、そして5位が日本円で420億ドル(約6兆5,000億円)となっている。この結果から、日本円での取引は1位のウォンに10倍以上の差を付けられた格好だ。
韓国主導で暗号資産価格が上昇する「キムチプレミアム」
こうした韓国における暗号資産取引の活性化は先月も顕著にみられていた。多くの国の暗号資産取引所においてビットコイン(BTC)が67,000ドル(当時約990万円)前後で取引されていたなか、韓国の暗号資産取引所ではドル換算で約72,000ドル(当時約1,065万円)ほどを記録するなど、乖離が生まれていた。
こうした他国の暗号資産取引所との間で発生する価格の乖離は通称「キムチプレミアム」とも呼ばれ、韓国において暗号資産取引が活発に行われていることを示す1つの指標にもなっている。
また、韓国では与野党が暗号資産に関する政策で前向きな方針を示していることから、今後も取引が継続的に活発に行われる可能性がある。先日投開票が行われた総選挙では、最大野党である「共に民主党」が過半数を獲得するなど大勝した。
共に民主党は米国で取引が好調なビットコイン現物ETFと同様、暗号資産の現物ETFを承認する方針であることから、市場において今後何らかの影響がみられる可能性もある。
参考:レポート
画像:Shutterstock
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