英国に拠点を置く保険・年金・投資管理会社のL&G(リーガル・アンド・ジェネラル)が、数ヵ月以内にファンドのトークン化を実現することを目指していることがわかった。21日、米暗号資産(仮想通貨)メディア・The Blockが報じた。
L&Gは運用資産1.5兆ドル(約225兆円)を誇る世界最大規模の資産運用会社だ。LGIM(リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント)のグローバル・トレーディング責任者であるエド・ウィックス(Ed Wicks)氏は、同社が現在、ファンドのトークン化を作成する方法を検討している段階であると認めた。
同氏はThe Blockに「ファンド業界のデジタル化は、効率を向上させ、コストを削減し、幅広い投資家が幅広い投資ソリューションを利用できるようにするためのカギだ」と述べた。また、「この分野での継続的な進歩を期待している」と付け加えている。
注目すべきことは、これがL&Gにとって、ブロックチェーン業界への最初の進出ではないということだ。実際、同社のブロックチェーンへの関与は2019年に始まった。当時L&Gは保険事業の一括年金の管理と記録に、AWS(Amazon Web Services)のブロックチェーンシステムを利用することを検討していた。
RWA(現実資産)のトークン化は、伝統的な金融サービスプロバイダーの間で注目されている。これは米国債に裏付けされたMMF(マネー・マーケット・ファンド)など従来の資産をブロックチェーン上のトークンであらわすことを意味している。さらに世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がビットコイン現物ETFを販売するなど、伝統的な金融機関による暗号資産業界への参入は加速し、トークン化が価値のある事業となりつつある。
大手資産運用会社によるトークン化事例相次ぐ
なお、ブラックロックはトークン化された投資ファンドを立ち上げる予定だ。「ブラックロックUSD機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BUIDL)」と名付けられたこのファンドは、外部投資家から最低投資額10万ドル(約1,500万円)の出資を求めている。
ブラックロックはイーサリアム現物ETFを販売し、投資家に対して同社のブロックチェーンに対する姿勢を明確化した。4ヵ月で、BUIDLの運用資産が5億5,000万ドル(約750億円)を超えたところが節目となる。
ブラックロックがBUIDLを開発してから約1ヵ月後、世界最大級の資産運用会社フランクリン・テンプルトンは3億8,000万ドル(約570億円)の「フランクリン・オンチェーン米国政府資金ファンド(FOBXX)」を発売することを発表した。同ファンドはポリゴン(POL/旧MATIC)とステラ(XLM)の両方のブロックチェーンでBENJIとしてトークン化された。
最近では米国拠点の大手金融サービス会社ステート・ストリートがトークン化された債券とマネー・マーケットファンドの兼用を開始した。
参考:The Block
画像:Shutterstock
関連記事
ブラックロック、世界最大の暗号資産現物ETF発行会社に
ゴールマン・サックス、588億円相当のビットコインETFを保有