24日にSEC(米証券取引委員会)へ提出された書類によると、マイクロソフト(Microsoft)の株主は、年末に開催される年次総会で、ビットコイン(BTC)を企業投資として評価する提案を議決対象とする予定であることがわかった。
株主諮問委員会が提出したこの提案は、マイクロソフトの財務業務におけるビットコインの潜在的な企業投資について詳細な評価を求めている。
一方で、マイクロソフトの取締役会は同社の財務部がすでにビットコインなどを含むさまざまな暗号資産(仮想通貨)を評価しているとして、この動きに反対の姿勢を表明していた。
取締役会はビットコインのボラティリティの高さを強調し、同社の現在のプロセスとしてさらなる検討を必要としなくても財務の安定性を確保していることから、それを継続すべきであると主張した。
そもそも、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ(Bill Gates)氏はビットコインを以前から懐疑的な見方を示しており、それは現在も変わっていない。ゲイツ氏は以前、暗号資産やNFTを「大バカ理論にもとづくいかさま」と一蹴している。取締役会はこうしたゲイツ氏の意向を反映した可能性がある。
取締役会は反対声明のなかで、企業の財務運営における安定性の重要性を強調し、「ビットコインのような変動性の高い資産は流動性と運営資金を確保するのには適していない」と指摘している。
財務、投資チームは暗号資産を評価
マイクロソフトのグローバル財務及び投資チームはすでに多様化やインフレ対策を提供する資産をふくめ、幅広い暗号資産を評価している。
チームは以前から、リスク管理の一環としてビットコインやそのほかの暗号資産への投資を検討しており、この分野の市場動向を継続的に監視している。
12月10日に開催されるマイクロソフトの年次株主総会では、ガバナンスや役員報酬などほかの重要な議題も取り上げられる予定だが、企業による暗号資産への投資議論が激化するなか、ビットコイン投資の提案が焦点となっている。
マイクロソフトは伝統的に財務管理に保守的であり、多額の現金準備金を債券など低リスク資産に投資している。
歴史的にみれば、ビットコインは極端なボラティリティで変化しており、流動性と安定性を重視する企業の財務部にとってはリスク資産となっている。
リスクはあるが、ビットコインに投資する機関投資家の関心は高まっている。ヘッジファンドや金融機関は、暗号資産をポートフォリオに組み込むケースが増えている。
参考:SEC提出資料
画像:Shutterstock
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