マネックスグループは先月31日、2024年3月期第3四半期の決算を発表した。そのなかで、暗号資産(仮想通貨)事業が黒字化し、連結四半期利益が22.8億円と順調に推移していることを明らかにした。グループ全体では営業収益が623億円となり、前年同期比で純利益が238%増加し65.4億円となった。
マネックスによれば、コスト構造改革の成功と暗号資産市場の回復が四半期及び通期での完全黒字化につながったという。
暗号資産市場の回復は米国におけるビットコイン現物ETF承認に向けた期待感が大きな要因となった。マネックスの暗号資産事業として展開する国内暗号資産取引所コインチェックにおいても取引量が増加し、黒字化の一因となった格好だ。
四半期利益は4億円となり、当期累計でも黒字を達成したという。金融費用及び売上原価控除後営業収益は前四半期比で+56.0%を達成した。広告宣伝費を65%と大幅にカットしたことも利益増の要因になったと説明する。NFT関連収益は減少したが、暗号資産取引金額は前年同期比とほぼ同水準まで回復したという。
また、マネックスはカナダ法人の暗号資産運用会社3iQ Digital Holdings Inc.を買収、子会社化することを昨年12月に発表している。これについて、今後増大が予想される世界の機関投資家や取引所における需要を取り込んでいく計画であると述べている。
3iQはビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のETFをトロント証券取引所に上場させており、暗号資産ファンドへの分散投資を可能にする投資プラットフォームを提供している。運用残高は2023年12月末時点で8億5,400万カナダドル(約938億円)であるという。
3iQの持つ暗号資産関連の商品組成力を活用し、グループ企業間でのシナジーを最大限に追求するとしている。今後、日本でもビットコイン先物ETFや現物ETFも誕生することを見込んで子会社化したようだ。
コインチェックは暗号資産事業と関連して、初めて販売されるNFTコレクションを取り扱う「Coincheck INO」を手がけている。第2号案件としてプロサッカークラブ「セレッソ大阪」がクラブ公式NFT「CEREZO OSAKA SUPPORTERS NFT」の取り扱いを開始したが、これがスポーツサポーターの応援ツールとして人気を博し、活用され始めていると説明している。
引き続きナスダック上場を目指す
また、コインチェックグループは現在、ナスダックに上場しているThunder Bridge Capital Partners IV,Inc.(THCP)との合併を通じて、ナスダック市場へのSPAC上場を目指している。THCPの株主総会を経て、昨年にはBCA契約を今年7月まで延長している。
マネックスはコインチェックグループをナスダックへ上場させることで、グローバルな投資家へのエクスポージャーを獲得することができると述べる。上場を通じて暗号資産事業のさらなる拡大を目指す。
参考:決算資料
画像:Shutterstock
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