三菱UFJ信託銀行、プログマ(Progmat)、JPYC、KlimaDAO Japan、オプテージは21日、Progmat Coin基盤を活用して発行される日本円ステーブルコイン「JPYC」をデジタルカーボンクレジット決済に活用するための共同検討を開始したと発表した。
なお、デジタルカーボンクレジット決済に活用することを検討しているJPYCは、Progmat Coin基盤を活用して発行が検討されている「信託型JPYC」となる。これはすでに前払式支払手段として発行されているJPYCとは異なり、昨年6月に施行された改正資金決済法に基づく電子決済手段としてのステーブルコインとして発行される予定だ。
信託型JPYCの発行はJPYC社が電子決済手段等取引業の登録を完了してからとなり、金銭による払い戻しが可能となる。
今回の共同検討は、国内ステーブルコインを活用したデジタルカーボン取引市場の実現に関するものだ。具体的には、KlimaDAO Japanが手がけるカーボンクレジット市場「KlimaDAO JAPANMARKET」と、Progmat Coin基盤を連携させることで、高い透明性・信頼性・効率性を担保したカーボンクレジットの企業間売買の実現性に焦点を当てている。
また、KlimaDAOがすでにグローバル向けに提供を開始しているカーボンマーケットプレイス「Carbonmark」と連携し、決済に各種国産ステーブルコインを用いることで、クロスボーダーで世界規模の流動性を創出することを目指す。
一連の取り組みにはフェーズを設けており、「マーケットプレイス・フェーズ1」と位置付けた実証は今年4月より開始している。今回発表したステーブルコインを決済に用いるフェーズは「マーケットプレイス・フェーズ2」として定めている。
フェーズ2ではオプテージが提供する企業向けインフラでデジタルカーボンに加え、ステーブルコインも取引可能とすることで、時間の制約なしでいつでも参加でき、透明性・信頼性の高いパーミッションレスブロックチェーン上で完結した当事者間取引が可能となることを見据える。
さらに、クロスボーダーで価値移転が可能なパーミッションレスブロックチェーンの特徴を活かし、「Carbonmark」と「KlimaDAO JAPANMARKET」が連携することで、日本発のデジタルカーボンの海外販売等も想定する。カーボンクレジットに加えて、非化石証書を含むそのほかの環境価値についても取引可能な体制を構築していくとしている。
今後予定している「マーケットプレイス・フェーズ3」では海外販売等、マーケットプレイスを自社で展開したい国内金融機関や事業会社向けの支援を視野に入れているという。
▶︎マーケットプレイス・フェーズ2のイメージ:発表より引用
カーボンクレジットとは
カーボンクレジットとは、企業間で温室効果ガスの排出量削減量を売買できるシステムで、「炭素クレジット」とも呼ばれている。企業は環境活動により生まれた温室効果ガスの削減量や吸収量を数値化し、クレジットとして認証された排出権をほかの企業と取引する。
結果、削減できない温室効果ガスの排出量を、カーボンクレジットを購入することで埋め合わせできるようになる。このように排出量を相殺することを「カーボン・オフセット」と呼んでいる。
発表によると、全世界のカーボンクレジット市場規模は約39兆円を超える。そのうち企業や個人が自主的に購入するカーボンクレジットであるVC(ボランタリークレジット)市場は現在約450億円だが、2030年には27兆円に達するといわれているという。日本だけでも、カーボンクレジット市場は2030年には3,000億円に達するとの予測もある。
日本においては、2023年10月から東京証券取引所がJ-クレジットの売買市場を開設した。しかし現時点で売買金額は限定的で、VCマーケットプレイスは存在はしているものの、流動性は高くないと発表では指摘する。
そのような現況下、KlimaDAO Japanは、すでにグローバルで展開されている「Carbonmark」の基盤を活用し、J-クレジット及び日本発のVCに対応したマーケットプレイス「KlimaDAO Japan MARKET」を開設し、段階的にグローバルベースの流動性を提供する計画を立てている。
デジタルカーボンは、KlimaDAO Japanが企業、自治体から買い取ったJ-クレジット等に対する引渡請求権をグローバルにアクセス可能なパーミッションレスブロックチェーン上のトークンとして発行するものだ。
当該ブロックチェーンにアクセスし、デジタルカーボンを管理するために必要な企業向けインフラをオプテージが提供し、銀行送金等での資金決済とすることで、企業が取引参加しやすい環境で市場開設すると想定している。
参考:発表
画像:発表より引用
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