大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)は25日、国内初となるST(セキュリティトークン)の取引を開始した。
大阪デジタルエクスチェンジは「昨今、STの発行市場では、大型案件が続けてローンチされるなど、発行金額は年々右肩上がりに伸びてきております」と述べた上で、運営する私設ST取引システム「START」がST市場のさらなる発展に貢献できるよう取引参加者・サポーターと連携し、尽力していくと強調した。
発表によると、STARTのマッチングシステムはAWS(アマゾンウェブサービス)のクラウドサービスを活用しているという。将来的には、STの発行基盤であるブロックチェーンと連携することによるストレート・スルー・プロセッシング(STP)を見据えていると説明した。
取引銘柄は開始時点で2銘柄
サービス開始時点で取引されるSTは、不動産に特化した2銘柄だ。第一弾は公募型不動産STである「ケネディクス・リアルティ・トークン ドーミーイン神戸元町(デジタル名義書換方式)」と「いちご・レジデンス・トークン-芝公園・東新宿・都立大学・門前仲町・高井戸・新小岩-(デジタル名義書換方式)」となる。
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)も同日、戦略子会社であるSMFLみらいパートナーズやケネディクス、SMBC信託銀行、大和証券、三井住友銀行が協業し、STARTにて「ケネディクス・リアルティ・トークン ドーミーイン神戸元町(デジタル名義書換方式)」の取引を開始したことを発表している。
本STは、SMFLみらいパートナーズが所有するホテル「天然温泉 浪漫湯 ドーミーイン神戸元町」を裏付け資産としている。本物件の準共有部分の95%をケネディクスが運用する特別目的会社に譲渡し、本物件の準共有部分の5%についてはSMFLみらいパートナーズが継続して保有する。ドーミーイン神戸元町を運営する共立メンテナンス社と一緒に安定的な運用を行うとしている。
本STはセカンダリー取引を行う場合、従来の不動産STと同様の金融商品取引業者が取引相手となる方法に加えて、金融商品取引業者がSTARTへの取り次ぎを行う方法でも取引が可能になる。これにより、取引方法の多様化や取引価格の透明性及び投資家の利便性が向上することに期待できると説明している。
さらに、業種を超えた協業を通じて、あたらしい投資機会を提供し、「貯蓄から投資へ」という現在の社会課題の解決を後押しするとともに、不動産などを裏付けとした投資運用商品の拡充により、物件拠出者の資金調達方法の多様化に貢献していくと述べた。
SMFLグループは中期経営計画の戦略「新たなコアビジネスの創造」において、「資産回転型ビジネス(流動化&証券化)」を施策として掲げている。これまでケネディクスと2件のSTを発行している。
ケネディクスは3兆円を超える不動産を運用する国内最大級の不動産アセットマネジメント会社であり、2021年8月に国内初の不動産STを発行して資金調達を行う不動産セキュリティ・トークン・オファリングを実行した。
なお、「いちご・レジデンス・トークン-芝公園・東新宿・都立大学・門前仲町・高井戸・新小岩-(デジタル名義書換方式)」は、いちご社が三菱UFJ信託銀行及びSBI証券とともに公募・運営するSTだ。
このSTではProgmat, Inc.が手がけるデジタルアセット発行・管理基盤「プログマ(Progmat)」が活用される。
参考:ODX発表、SMFL発表
画像:Shutterstock
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