ペイパルは米国のビジネスアカウントがビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などサポートされている暗号資産を購入、保有、販売、転送できるようにする新機能を発表。ビジネス向けの暗号資産サービスを拡大した。
ペイパルのビジネスアカウントから直接購入、保有、販売、転送できるようになる。このサービスは米全国で利用可能であるが、開始時点ではニューヨーク州では利用できないとペイパルは述べた。
ペイパルのブロックチェーン、暗号資産、デジタル通貨担当上級副社長であるホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ(Jose Fernandez da Ponte)氏は声明で、
「ペイパルとVenmoの消費者がウォレットで暗号資産を購入、販売、保有できる機能を開始して以来、私たちは消費者が暗号資産をどのように使いたいかについて多くのことを学びました。事業主は、消費者にも同じ暗号資産機能を提供したいという要望が多くなっています。私たちは、この新サービスを提供して消費者がデジタル通貨に簡単に関われるようにすることで、その需要に応えられることを嬉しく思っています」と述べた。
これにより事業者は、売買に加えて、暗号資産を外部のサードパーティのウォレットに転送できるようになった。この新機能により、企業が暗号資産取引を簡単に管理できるようになる。
ペイパルは、企業に自社プラットフォーム上でビットコインや暗号資産を購入し、保有する機能を提供するという事業拡大を進めており、これは同社の著しい成長を遂げているデジタル通貨イニシアチブに基づくものだ。
これには、2020年の消費者向け暗号資産サービスの開始や、2023年の米ドルにペッグしたステーブルコインPayPal USD(PYUSD)の発行が含まれている。
今回の新機能の背景には、ステーブルコイン市場はテザー(USDT)が75%を占めているという現状のなかでPYUSDの流通を高めることも1つの目的としている。
ほかの暗号資産との交換の容易さや利便性を高めることで、PYUSDの市場拡大につなげる戦略でもあるようだ。
PYUSDの市場シェア率拡大
トークンターミナルによると、ステーブルコイン市場は1600億ドル(約23兆円)に達しており、暗号資産全体でみても、ビットコインとイーサリアムに続く3番目の大きな暗号資産となっている。
ステーブルコイン市場は今後さらに拡大すると予想されており、PYUSDの市場シェア率拡大はペイパルにさらなる大きな成長をもたらすものである。
PayPalは世界中に3億以上のアクティブユーザーを持っており、これに直接PYUSDを導入することで既存の利用者に自然に普及させることが可能と考えられ、すでに多数のオンラインショッピングサイトやリアル店舗と提携しているPayPal上でPYUSDを使った決済の割引や報酬プログラムを展開することで爆発的な普及の可能性もあるだろう。
参考:PayPal
画像:Shutterstock
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