米ソーシャルメディアネットワーク大手のレディット(Reddit)が、2024年第3四半期に保有していた大部分の暗号資産(仮想通貨)を売却したことがわかった。29日に提出された米SEC(証券取引委員会)の10-Q提出書類により明らかになった。
レディットは2月のIPO申請書で、余剰資金を原資としてビットコイン(BTC)などの暗号資産を保有していると報告していた。最新の報告書でも、レディットは暗号資産の売却益について問題ないと主張し、「当社の暗号資産の純帳簿価額、及び売却で認識された利益は重要でなかった」と述べていた。
レディットは正確な売却量を明示していないが、先月30日までの第3四半期における売却は、同社がビットコインの最近の価格高騰による価値の最大化のタイミングを逃してしまったことを意味する。
今月、ビットコインは史上最高値である73,737ドル(約1,128万円)に迫り、73,562ドル(約1,125万円)を付けた。レディットが売却した第3四半期中、ビットコインの価格は54,000ドル(約826万円)から68,000ドル(1,040万円)を推移していた。
レディットは、NFTアバター販売から得たイーサリアム(ETH)やポリゴン(POL)などいくつかの暗号資産を保有していた。ポリゴンはPOLに移行中だが、同社は以前のMATICを保有していたことを発表している。
ソーシャルメディア企業のなかでもレディットはビットコインやそのほかの暗号資産をいち早く採用し、収集品やユーザーエンゲージメント報酬として積極的に活用してきた。
その後、レディットはWeb3.0業界への関与を徐々に減らしたほか、独自トークン・MOONの管理権をコミュニティに譲渡し、ポリゴンベースのアバターに結びつけられた「Collectible Expressions機能」を停止した。2022年に開始されたこれらのアバターは1,800万枚以上が発行され、NFLシーズンなどのイベントの宣伝に使用された。
ただレディットのアプリには同社における「新境地」のビジョンの一環として、導入されたデジタル資産ウォレット機能「Vault」がまだ存在している。
デジタル資産の長期的な採用は不確実
レディットの製品及びエンジニアリングチームはビットコインと暗号技術に引き続き取り組んでいるが、デジタル資産の長期的な採用については不確実性を指摘している。同社は声明で「暗号資産とブロックチェーン技術には大きな可能性があると信じているが、暗号資産の人気と普及は比較的最近の傾向であり、これらが長期的に消費者や企業に採用され続けるかどうかは不確実だ」と述べている。
こうした対応の背景には、SECによる暗号資産業界に対する強行姿勢への配慮もうかがえる。レディットの現在の投資方針では、今後のビットコインなど暗号資産への投資について取締役会の承認が必要である。
なお、30日にレディットの株価は41%上昇し、1株あたり116ドル(約17,630円)に達した。レディットはアナリストの予想を上回り、前年同期の740万ドル(約11億3,200万円)の損失とは対照的に、3,000万ドル(約46億円)の利益を報告した。
参考:Reddit
画像:Shutterstock
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