米証券取引委員会(SEC)は18日、破綻したFTXの監査における不正行為と監査法人としての独立性違反について、訴訟を起こしたカリフォルニアに拠点を置く監査法人プラガー・メティス(Prager Metis CPAs,LLC)が和解に応じたことを発表した。
プラガーは和解金として195万ドル(約2.7億円)を支払うことに同意した。
SECは訴訟でプラガーがFTXに関する監査基準への準拠について虚偽の報告をしたと主張。訴状によると、プラガーは2021年2月から2022年4月にかけて、FTXの監査報告書2通を発行し、監査が監査基準(GAAS)に準拠しているとの虚偽の報告をしたとされている。
SECはプラガーがGAASおよび自社の方針や手順に従わず、FTXの監査を実施する能力とリソースがあるかどうかを適切に評価しなかったことなどをあげている。
この管理の不備により、プラガーは監査の複数の点でGAASに準拠しておらず、最も重大なことは、FTXとFTXの元CEOが管理する暗号ヘッジファンドであるアラメダ・リサーチとの関係から生じるリスクについて理解していなかったことだと指摘。
SECの訴状によると、プラガーは過失に基づく詐欺の罪にも問われている。プラガーはSECの調査結果を認めることも否定することもせず、恒久的な差止め命令、745,000ドル(約1億650万円)の民事罰金の支払いに加えて、監査、レビュー、品質管理のポリシーと手順をレビュー、評価するために独立したコンサルタントを雇うこと、あたらしい監査クライアントを受け入れる際の特定の制限に従うことを含む是正措置を講じることに同意した。和解は裁判所の承認を得ることを条件としている。
SECの執行部門ディレクター、グルビル・S・グレワル(Gurbir S.Grewal)氏は、声明で
「投資家保護を効果的に行うには、規制当局と監査法人などのゲートキーパーの両方を含む協力的なアプローチが必要です。監査法人がその役割をはたすには、独立性を保ち、専門家として然るべき注意と懐疑心を持ち、適用されるすべての専門的基準を遵守する必要があります。プラガーはこの点で不十分でした。プラガーによるFTXの監査不足により、FTXの投資家は投資決定を行う際に重要な保護を欠いていました。最終的に彼らはFTXによって数十億ドルを騙し取られ、FTXが破綻したときにその代償を被りました」と述べた。
監査法人の独立性違反の判決に同意
またSECは、プラガーが監査法人の独立性に関する規則に違反し、顧客の連邦証券法違反を幇助したとして、以前に提訴された別の告発を解決するための最終判決の確定したことも発表した。
プラガーが2017年12月から2020年10月までの間に、200件を超える監査、レビュー、検査の契約書に補償条項を不適切に含め、その結果、連邦証券法で義務付けられている顧客からの独立性が保たれなかったとSECは主張していた。
最終判決では、永久差止命令、民事罰金100万ドル(約1億4,300万円)、判決前利息を含む不当利益変換205,000ドル(約2,800万円)も課せられる。
参考:SEC
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