SEC(米証券取引委員会)は、米リップル(Ripple)社に対し、暗号資産(仮想通貨)XRPを不適切に販売したとして、1億2,500万ドル(約182億円)の罰金を支払うよう命じた裁判所の判決を不服とし、控訴した。
これはSECがリップルに対して長期にわたる法廷闘争で求めていた20億ドル(約2,920億円)と比べると極めて少ない金額だとして不満を示したものだ。
SECは2020年にリップルに対して訴訟を起こした。未登録証券に該当する暗号資産を販売して資金を調達したことは法律違反に該当すると主張していた。
この訴訟についてはSECの暗号資産規制権限に影響を及ぼすことから、暗号資産業界から注目を集めている。
2023年、米地方裁判所のアナリサ・トーレス(Analisa Torres)判事は、XRPが証券法の対象となるのは機関投資家に販売された場合のみであり、個人投資家には該当しないという判決を下した。この判決は事実上のリップルの勝利であるとして暗号資産業界に歓迎された。
ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長体制のSECは未登録の証券を提供しているとして、暗号資産取引所や、暗号資産発行会社に対して複数の大きな訴訟を起こしている。
トーレス判事は8月、リップルに対し、証券法違反をこれ以上犯さないよう命じる仮差止め命令を出した。
しかし同氏はリップルに対して売却益の返還を求めるSECの要求を却下。SECは返還金として8億7,600万ドル(約1,278億円)、利息として1億9,800万ドル(約289億円)、さらに民事罰金として8億7,600万ドル(約1278億円)を支払うよう要求していた。
一方、リップルは1,000万ドル(約14億6,000万円)以上を支払う必要はまったくないと主張し、両社には歴然とした差があった。
最後まで裁判で戦う
リップルのCEOであるブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏はXの投稿で「ゲンスラー氏とSECが合理的であれば、とっくの昔にこの件から立ち去っていたはずだ。この件は投資家を守るどころか、SECの信頼性と評判を傷つけた。どういうわけか、彼らはまだメッセージを受け取っていない。彼らは重要なことすべてにおいて負けたのだ。リップル、暗号資産、そして法の支配はすでに勝利している」とコメント。
さらに、「必要な限り法廷で戦うつもりだが、はっきりとさせておきたいのは、XRPの非証券としての地位は今日の法律に基づいたもので、この誤った、そして腹立たしい控訴に直面してもそれは変わらないということだ。SECが中間控訴を提出しようとして失敗した時、SECはXRPの非証券としての地位に異議を唱える意図がないことを明確にしていたことを思い出してほしい」と続けた。
現在のバイデン政権の下ではSECは控訴せざるを得ないのが事情としてある。バイデン大統領は暗号資産について否定的な姿勢を崩していない。11月の選挙後、トランプ政権、あるいはハリス政権が誕生することで、SECは新体制に移行し、控訴は即座に取り下げられる可能性もある。
参考:通知、ガーリングハウス氏声明
画像:Shutterstock
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