大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの新CEOに就いたリチャード・テン(Richard Teng)氏は27日、ブログを公開し、今後のバイナンスの方針について語った。
バイナンスは米国での刑事訴訟に対して有罪を認め、43億ドル(約6,320億円)の罰金を支払うことに合意し、創業者であるCZ(Changpeng Zhao)氏はCEOを辞任。その後、CZ氏は後任のCEOとしてテン氏を指名した。
テン氏はシンガポール出身。2年前にバイナンスのシンガポール法人のCEOに就任した。バイナンスが司法省の最初の捜査を受けた年で、規制当局の監視が強まるなか、テン氏は同社内で存在感を示していたようだ。
テン氏はシンガポール法人のCEOを5ヵ月間担った後、今年4月にはヨーロッパ、アジア、中東、北アフリカの地域責任者に昇進した。5月には世界市場責任者に就任し、今月にはバイナンスのCEOに任命されている。
CZ氏はテン氏を「非常に適格なリーダーで、金融サービスと規制に関して30年以上の経験があり、バイナンスを次の成長段階に導くだろう」と述べている。
テン氏はバイナンスに入社する前、MAS(シンガポール金融管理局)の企業財務部長兼SGX(シンガポール取引所)の最高規制責任者に就いていた。その後はアラブ首長国連邦の国際金融センター「ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)」のCEOに就任し、6年間勤務していた。
財務・セキュリティ・安全性の向上に焦点
テン氏はブログで、バイナンスのCEO就任に就いて光栄だと述べ、「この組織のベースはイノベーションがユーザーに価値をもたらすべきであるという考えだ。金融イノベーションの道を切り開きつつ、サービスの卓越性を追求していく」と語った。
テン氏は30年にわたる金融サービスと規制に関する経験から、暗号資産業界が独自の課題と機会を理解しているという。過去2年にわたり、バイナンスはコンプライアンスと企業文化を強化するために適切な人材の採用及び取り組みを行なってきたと主張している。
バイナンスはユーザー保護に重点を置いてきたが、テン氏も「全力で尽くす覚悟がある」と強調する。その上で、「会社の財務力、セキュリティ力、安全性に自信がある」と続けた。
また、バイナンスは顧客資産について1対1の割合で資産を常に確保しているとし、顧客の資産は保護されていると述べている。1年以上前から導入されているプルーフ・オブ・リザーブ・システムにより、ユーザー向け安全資金基金(SAFU)緊急基金にいたるまでバイナンスは顧客が安心して利用できるように全力で取り組んでいるとしている。
Web3.0の未来語る
テン氏はWeb3.0の未来についても言及。「金融包括の成長、国境を超えた送金、取引コストの削減など、ブロックチェーンを活用した取り組みを行っている。個人が自分のデータを管理できるようにし、分散型アプリケーションを通じてイノベーションを促進できるようにしていく」と述べた。
バイナンスの成長に向け、責任を持って世界各国の政策立案者と対話を行い、暗号資産投資家が将来に自信を持てるようにしていくとしている。
参考:公式声明
画像:公式声明より引用
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