11月の米大統領選挙における共和党候補で再選を目指しているドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は25日、再び暗号資産(仮想通貨)を支持する立場を表明した。
トランプ氏は規制上の懸念からクリエイティブ企業が米国から撤退している背景をあげつつ、自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」で暗号資産の新興企業を支援する意向を示した。
トランプ氏は「私は暗号資産企業や、このあたらしく急成長している業界に関連するあらゆるものに対して非常に前向きでオープンな考えを持っている。我が国はこの分野でリーダーでなければならない。2番目の立場ではだめだ」と述べた。
大統領選が迫るなか、トランプ氏は暗号資産に対してポジティブなイメージを発信し続ける。先日には、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、さまざまな暗号資産での寄付の受付を開始した。こうしたトランプ氏の動向が、米国における暗号資産の方向性に大きな影響を与えるだろうと指摘する声は少なくない。
また、トランプ氏は暗号資産に強い反対姿勢を示す民主党の重鎮、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員の名をあげ、同氏を暗号資産業界から遠ざけるとも言及。米議会に暗号資産に賛同の意を示す「暗号資産軍」を生み出し大統領選にも勝利すると述べている、
バイデン政権との対比を演出
トランプ氏の暗号資産に対する大幅な柔和姿勢は、バイデン政権との対比を演出するための動きとみる声が多い。暗号資産に対する米国の姿勢の大きな転換を主張し、特に30代から40代ので投票権を持つ有権者の支持を集めることに注力しているとされる。
トランプ氏は「我が国史上最悪の大統領であるジョー・バイデン(Joe Biden)は、ゆっくりと苦痛を伴う死を望んでいる。そのようなことを私は決して起こさない」と述べ、バイデン政権の暗号資産に対する姿勢を痛烈に批判している。
こうした情勢のなか、近頃はバイデン政権も暗号資産に対する方向転換を図る動きが強まっている。米議会では現在加速的に暗号資産関連規制に関する議論が行われており、先日には申請を否認するとの見方が多勢を占めていたイーサリアム現物ETFもSEC(米証券取引委員会)に承認された。
今後もトランプ氏による暗号資産支持層の取り込みは加速するものとみられ、バイデン大統領もこれに対抗し規制整備などを加速させる可能性がある。
参考:トランプ氏声明
画像:Shutterstock
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