ビットコイン現物ETFを発行する投資管理会社ヴァンエック(VanEck)は、フィンテック、暗号資産、AIの分野における初期段階のスタートアップベンチャー向けに特化した3,000万ドル(約45億円)のファンド「ヴァンエックベンチャーズ(VanEck Ventures)を設立することを9日に発表した。
1,180億ドル(約17.5兆円)以上の資産を運用するヴァンエックは、イノベーションに精通している。同社はビットコイン(BTC)やそのほかのデジタル資産を最初に導入した企業の1つでもある。現在ヴァンエックはその専門知識をベンチャーキャピタルの領域にまで拡大し、金融分野で将来性の高い初期段階の企業に投資を実施する。
ヴァンエックの発表によると、ヴァンエックベンチャーズは、暗号資産とフィンテックの経験を持つ、ベテラン投資家のワイアット・ロナーガン(Wyatt Lonergan)氏とファン・ロペス(Juan Lopez)氏が率いる。
両氏のリーダーシップは、サークルベンチャー(Circle Ventures)での初期段階企業への投資を指揮した役職の実績から明らかだ。あらたに設立されたヴァンエックベンチャーズは、フィンテック、暗号資産、AIの融合に取り組むスタートアップ企業をターゲットとしている。トークン化された資産から次世代の決済システムまで、金融エコシステムの未来を作るインフラストラクチャとアプリケーションを構築する企業に焦点があてられる。
ヴァンエックのCEO、ジャン・ヴァンエック(Jan Van Eck)氏は「私たちの長期的な展望は、常に破壊的な機会を早期に特化することです。このファンドは、そのビジョンをベンチャー分野に持ち込み、金融の未来を築く創業者を支援できることを嬉しく思います」と述べた。ヴァンエックベンチャーズは、トークン化された資産やステーブルコインなどのブロックチェーンのイノベーションに特に興味を持っている。
ロナーガン氏はThe Blockに対し、「これらのブロックチェーンベースのイノベーションの重要性を強調し、ステーブルコインはオープンソースの銀行レイヤーとして機能し、企業にスケーラブルでほぼ即時の決済ソリューションを提供することになる」と述べた。また、ステーブルコインが金融業界、特に39兆ドル(約5,810兆円)規模の企業間国際決済市場において、はたす役割が拡大していることを指摘した。
ステーブルコインの規制が進むにつれ、従来の電信送金やPayPalなどのサービスを超えるソリューションが提供され、最終的にはオンチェーン及びオフチェーンシステムでもステーブルコインが利用されるなど採用が拡大すると期待されている。
50万ドル~100万ドルを投資
ファンドは主にプレシード及び、初期段階の企業に焦点をあて、25~35社のスタートアップ企業に50万ドル(約7,500万円)から100万ドル(約1億4,900万円)投資することを目指している。また、これらの企業はフィンテックとブロックチェーンのアプリケーションに重点を置き、財務的価値と戦略的価値の両方を提供する予定だ。
ファンドはすでに4件の未発表投資を実施している。このファンドは、株式プロジェクトとトークンプロジェクトの両方を対象としており、柔軟な資金調達構造でスタートアップ企業をサポートしていくという。
参考:VanEck
画像:Shutterstock
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