OpenAIの共同創業者兼CEO、サム・アルトマン(Sam Altman)氏が立ち上げたプロジェクトであるワールドコインは18日、リブランディングを発表した。あらたな名称は「ワールドネットワーク(World Network)」だ。
この発表は、アルトマン氏及びワールドネットワークの共同創業者兼CEOであるアレックス・ブラニア(Alex Blania)氏によって行われた。
あわせて、ブラニア氏は目の虹彩を読み取り本人確認を可能とする生体認証眼球スキャナー「オーブ(Orb)」の最新モデルを発表した。このオーブはNVIDIAのJetsonチップセットを採用したもので、必要に応じてユーザーに提供される予定だ。
なお、リブランディングとあわせて、独自のレイヤー2ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」をローンチしたことを明らかにした。
ワールドネットワークのチーフデバイスオフィサーであるリッチ・ヘレイ(Rich Heley)氏は、「オーブへのアクセスはオンデマンドで、ピザを注文するように簡単に提供される」と述べた。
同社の声明では「これらの進歩により、世界中のより多くの場所でワールドID(World ID)の人間認証証明を提供するあたらしい方法を提供できるようになる」と述べている。
ワールドネットワークのホームページによると、これまで約700万人がオーブを通じてワールドIDを発行した。ワールドIDを発行することで、よりセキュアな本人確認を行うことができるほか、独自暗号資産(仮想通貨)であるWLDを受け取ることができる。
Web3.0でベーシックインカムの実現目指す
アフリカや欧州では虹彩スキャンに対して規制をかける動きもあるが、アルトマン氏はテクノユートピアの実現を目指す姿勢を崩していない。
ワールドネットワークは、Web3.0を通じたベーシックインカムの実現を目指し立ち上げられたプロジェクトだ。唯一無二のIDである虹彩で本人による認証を証明すると同時に、人間であることを明らかにする。
また、プロジェクトの背景には急速に進歩するAIの存在もある。AI技術の進歩により、従来のシステムでは本人確認が突破される懸念が高まっている。こうした状況を踏まえ、指紋と同じように唯一無二のIDとして機能する虹彩を利用した本人確認を可能とする技術を用いた。
一方で、虹彩を利用した本人確認を巡っては、プライバシー保護などの側面で懸念もあり、複数の国・地域では規制をかける動きもある。
ワールドネットワークは今回の発表で、「『ワールドコイン』という名称ではもはやプロジェクトを補完しきれない」と述べ、プロジェクトの拡大を見据える。しかし、各国による規制動向も不透明であるため、ワールドネットワークの展開は未知数な側面もある。
参考:発表
画像:Shutterstock
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