
そして気になるのが11月の市場動向だ。好調な10月を終え、投資家の動きが買い増しに向かうのか、それとも手仕舞いに回るのかは気になるところだろう。
傾向でいえば、11月という月は2桁パーセントの変動となることがほかの月と比べても多い。2013年から2022年までの10年でみると、1桁パーセントの変動に落ち着いたのは2016年と2021年だ。2016年はビットコインにおける2回目の半減期が終わり少々過ぎた頃、2021年はビットコイン先物ETFが承認され、過去最高値を記録した直後。どちらも市場の過熱感が落ち着き、様子見ムードが広がっていた時期だった。
11月において、この10年で最も大きなプラスとなったのは2013年で、プラス449.3%。一方、最もマイナスとなったのは2018年でマイナス36.5%だ。
2013年はキプロス危機が発生した影響もあり、資産保護の兼ね合いでビットコインへの注目が高まった。また、中国の大手検索サイトであるバイドゥ(百度)がビットコイン決済に対応するなど、急激に需要と露出の機会が高まったことで価格も高騰した形だ。
2018年はハッキング事件など不祥事が相次いで発生したほか、Googleなど大手が暗号資産関連の広告を禁止したり、規制面でも締め付けが強化されたことを受け年初から価格は下落。11月にはビットコインキャッシュ(BCH)の分裂騒動も起き心象が悪化していたといえる。
2023年でいえば、ビットコイン現物ETFの承認観測が出始め、その期待感も相まって、現在はビットコイン先物ETFが承認される1ヵ月前、2021年9月頃に少々状況が似ていると筆者自身はみている。
また、SECが現在置かれている立場やこれまでの審査状況も加味すると、早ければ11月初旬、遅くとも来年1月にはビットコイン現物ETFが承認されるのではないかと考えている。審査スケジュールなどを加味すると12月の承認は11月と比べて低いのではないだろうか。
ビットコイン現物ETFが承認されたとしたら、ビットコイン価格は当然上昇すると見込まれている。ビットコイン先物ETFが承認された際の上場や過去の市場傾向だけで話を進めれば、2桁パーセントの変動幅となる可能性が十分に考えられる。
一方、承認観測は出たものの、進捗がなく焦らされるようなことがあれば買い疲れが生じて手仕舞いの動きが加速する可能性もある。もともと12月は利益確定の売りが出やすいため、それも相まって先んじて動き出す投資家もいるだろう。