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国内ベンチャー過去最高評価額のM&Aを実施したPaidy創業者ラッセル・カマー氏独占インタビュー

2024/04/07Iolite 編集部
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国内ベンチャー過去最高評価額のM&Aを実施したPaidy創業者ラッセル・カマー氏独占インタビュー

国内ベンチャー過去最高評価額のM&A Paidy

日本を代表する「あと払い(BNPL)」サービス「ペイディ(Paidy)」の創業者兼代表取締役会長であるRussell Cummer(ラッセル・カマー)氏。

2021年に約27億ドルでペイパルにバイアウトし、日本のベンチャー企業において過去最高評価額のM&Aを実施した。

また、Cummer氏は日本にフォーカスしたWeb3.0スタートアップである「AltX Research」の創業者でもある。

創業以前はゴールドマン・サックスの香港・日本オフィスに勤務していた経験もあるペイディの創業者が思い描くビジョンや暗号資産決済の可能性などを独占インタビューを通して深掘りした。

——カンファレンス参加に至った経緯

Russell Cummer氏(以下、Cummer):「X&KSK Fund」とカンファレンスが、とてもユニークだと思ったからです。実際、彼らがカンファレンスに招待した登壇者をみて、参加する機会をもらえたことが非常にエキサイティングなことで、本田圭佑氏のアイデアにすごく共鳴しました。私は日本のスタートアップ市場の構築に自信を持っています。この機会に参加できることが非常に光栄なことだと思っています。

——ブロックチェーン、Web3.0についてどのような考えを持っていますか?

Cummer:日本のWeb3.0の展望についても非常にエキサイティングだと感じています。今後どのように成熟していくのかに非常に興味を持っています。信頼されて安全なインフラストラクチャーが整えば、さらに将来の可能性が広がると思っています。

ブロックチェーンの可能性についても興味や期待はありますが、Web3.0領域全体として今後どのように成熟し、発展していくのかに注目しています。

期待する領域と投資判断のポイント

——どのようなスタートアップに期待していますか?

Cummer:私の精通した領域はフィンテック決済事業です。日本と世界のさまざまな国のフィンテックのスタートアップに投資し、協業してきたので、もちろんその分野には期待しています。特にブロックチェーンとブロックチェーン・インフラストラクチャの領域に非常に興味があります。

——スタートアップへの投資判断のポイントについて聞かせてください。

Cummer:スタートアップのアーリーフェイズでの投資については、慎重になる点もあるのは事実です。圭佑氏もいっているように、ファウンダーや彼らの耐久力とアイデア、市場で投資判断をしようとしていることからも、そう単純な話でないことがわかります。

私はある意味、意欲的かつ耐久力、調整力があり、同時に私がコーチング可能で、より良くなるように努力する、オープンスタイルなファウンダーが好きです。

ファウンダーになることは簡単なことではありません。学校に通って資格試験を受けてなる医者や弁護士とはまったく異なるスキルや知見が必要になります。彼らは常に、「オンザ・ジョブ・トレーニング」が欠かせません。最も成功している人は実際に学びながら進んでいく姿勢を持っている人だと思います。

まず、フィードバックを得て、コーチングを受け入れることが非常に重要なことです。私自身、事業家としてのキャリアのなかでは、投資家として非常に優れた経験豊富な方々に恵まれました。私がより良くなるために時間をかけて助けてくれたのはとても幸運なことでした。

従ってこれからは、組織のリーダーとして成熟することを助けることも私の役割だと思っています。小さな役割であるかもしれませんが。

私はその役割を果たすことにとても情熱を持っています。単なる投資家になるのではなくて、スタートアップのファウンダー達が人間的に成長することを助ける投資家になりたいと考えています。

それがお金を生むことにつながるかどうかはわかりません。良いのか悪いのか結果はわかりませんが、人を育てる投資家になりたいと考えています。

暗号資産領域への展開は?

——暗号資産領域への事業展開の可能性はありますか?

Cummer:ペイディはペイパルの傘下です。ペイパルはすでに世界的な決済会社としての地位を確立しており、独自のステーブルコインを発行しています。

従って、私達が具体的に発表できることはありませんが、暗号資産やステーブルコインはペイパルにとってこれからも重要なツールとなるでしょう。

ペイパルは私達のビジネスにとって非常に優れたプラットフォームであり、彼らは私達のビジネスを理解し、成長を支援してくれるだろうと考え、ペイパルにバイアウトしました。

数字はいえませんが、ペイパル傘下になったことで会社自体は大きく成長することができました。

もちろん独自で日本の市場に上場することも可能だと思いましたが、ペイパルからのオファーを伺うと、より大きなプラットフォームに参加するのは自然な流れであるという結論に至ったのです。

ちなみに、BNPLサービスでは、ほぼ同時期にスクエアがアフターペイを買収しています。ペイディにとって、ペイパルグループに入ることが事業として非常に大きな成長が期待できると考えました。

——バイアウトではなく、国内上場の選択肢はありましたか?

Cummer:日本での上場も選択肢の1つでした。一方で、上場はビジネスを成長させる唯一の方法ではないことも起業家は理解すべきであると思います。

これは日本のエコシステムにとっても重要なことです。私達のBNPLサービスというビジネスは、大きな市場と提携することで意味を成します。

今となってはペイディが成功するとわかっていたというのは簡単ですが、実際にはそうではありませんでした。

お客様がサービスを好んで使ってくださったのは、オンラインショッピングにおいてたくさんの課題があったからです。ソリューションを生み出しても、真の問題がなければ、ビジネスは成り立たないことを起業家はしっかりと理解する必要があると思います。

ペイディ創設当時、私達のミッションとして代引きの課題解決がありました。すべての電子商取引業者、たとえAmazonであろうと小規模なショップであろうと関係ありません。

代引きよりも優れた決済サービスを市場が必要としていたのです。代引きは誰にとっても面倒臭いし、問題はクレジットカードを使いたくないがために代引きを利用する人々が存在したことです。

電子商取引業者にとっても面倒だし、消費者にとっても代引きは面倒なことだったのです。

そこで私達はその問題を解決するためにペイディを提供したのです。決済時は代引きと同じくらい簡単ですが、クレジットカードと同じくらい強力なツールです。

加盟店にとっては、払い戻し、入金保証、分割手数料無料(口座振替・銀行振込のみ)の分割払いが用意されており、クレジットカードのように見えますが、実際は異なります。

創業期の苦悩

——日本国内での事業展開では苦労したことはなかったですか?

Cummer:当時オンライン決済を行っている企業はすでにたくさんありました。どのような決済サービスが必要とされているかを理解している企業もありましたが、サービスの信用リスクをどのように負うのかという点までは理解している企業は少なかったと思います。

日本国内には信用リスクをとる企業もありましたが、そういった企業は、どのように決済サービスを構築するかを理解する企業は少ないと思います。

私達がこの両方(決済サービスの構築の方法と信用リスクを取る方法)を理解していたことは、本当に幸運なことでした。なぜなら、ビジネスを成功させる上で、それ以外の選択の余地がなかったからです。

私はゴールドマン・サックスで信用トレーダーの経験があります。つまり私は信用リスクにある程度の知見がありました。

リスクをとることで利益をあげることができる。それはビジネスの本質でもあります。ですから、私達は独自の方法でお客様に対してリスクを負います。クレジットカード会社は書類審査の必要があるし、時間がかかります。

それ以前に審査に通らなければクレジットカードは手に入りません。利用できるまで時間がかかり、とても遅いです。私達は消費者を信用することからスタートします。

もちろん独自の審査はありますが、登録すらしていない状態から利用できるようになっているのです。ですからお客様も私達のサービスを愛することにつながるのだと考えています。

コンビニ決済や銀行振込で利用することができるという点でもユニークだと思います。しかも分割払いであっても分割手数料は無料です。このようなBNPLのサービスはヨーロッパや米国で非常に人気があります。ペイパルはBNPLビジネスをヨーロッパや米国で展開しうまくいっています。

——今後の展望をお聞かせください。

Cummer:ペイディのビジョンは人々の夢を叶えるお手伝いをすることです。私達はビジネスを成長させ続け、より多くの加盟店と提携し、生活者が購入や買い物をよりスムーズにできるように体験価値を提供していきます。

現在私達は、お客様のショッピングライフをより良くするために、いくつかのツールを追加していくことを検討しています。

人々がキャッシュフローを透明かつ簡単に管理できるシステムを提供することを目的として、金利のことを心配することなく、少しでも早く欲しいものにアクセスできるようにすることをサポートができたら嬉しいです。

私達は「買い物」を通して、人々の夢、自己投資を応援していきたいと考えています。


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