Web3.0に興味感心を抱く学生が集う「Binance Academy出張授業」レポート

2025/11/07 12:00
Iolite 編集部
文:Shogo Kurobe
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Web3.0に興味感心を抱く学生が集う「Binance Academy出張授業」レポート

学生限定の学びの場として開催

冬の気配が一層深まり、身にしみるような寒さが感じられた11月4日、千葉工業大学津田沼キャンパスにて、暗号資産(仮想通貨)やWeb3.0に関する正しい知識を学べる場として「Binance Academy出張授業」が開催された。

そもそもBinance Academyとは、Binance(バイナンス)ユーザーに限らず、誰でも無料で利用できる教育コンテンツプラットフォームとして機能。ブロックチェーンや暗号資産の基礎から応用までをわかりやすく学べる内容を提供しており、世界中で数千万人が利用しているという。初心者から中級者まで、幅広い層から支持される取り組みとなっている。

今回、そんなBinance AcademyをBinance Japanのチームが特別講義形式で開催。参加対象者は学生限定とし、暗号資産の誕生や概要、そしてWeb3.0がもたらす世界観などについて講義を行なった。

本イベントにはメディアパートナーとしてIoliteも参加。当日の様子をレポートしていく。

Binance Japan代表・千野氏が登壇「ようこそWeb3へ」

特別講義では、Binance Japan代表の千野剛司氏が講師を勤めた。千野氏は東京証券取引所に入社後、金融領域でのキャリアを重ね2018年に暗号資産取引所Kraken(クラーケン)に入社。2020年には同社日本法人の代表に就任し、その後、2022年7月よりBinance Japanの代表を務めている。金融と暗号資産の両領域において豊富な知見を有する人物として、さまざまなイベント等にも登壇している。

今回、千野氏はWeb3.0の基礎知識や暗号資産、ビットコイン、そして取引所の役割などについて学生たちに講義を行った。

まずWeb3.0について馴染みのない学生からすれば、その概念の誕生から現在に至るまでの流れが気になることだろう。千野氏は一方的な情報発信が特徴のWeb1.0、そして双方向的な情報の流れが特徴のWeb2.0の概要について説明し、こうした潮流のなかで、各々がデータを管理するユーザー主体の世界観をWeb3.0として説明した。

ブロックチェーンの分散性や透明性、P2P取引の仕組み、デジタルアイデンティティの意義などにも触れ、「ユーザーが主役となるインターネット社会が到来している」と語っていたのも印象的だ。

Binance Academy 1

暗号資産の起源と社会的意義とは

講義の後半では、暗号資産の誕生背景や価値の源泉について深く掘り下げた。特に代表的な暗号資産であるビットコインに関しては、誕生した2009年当時、世界は金融危機の余波のなかにあり、「政府や中央銀行が勝手に通貨を発行できる仕組み」に対する疑問から、中央管理者を持たないあたらしい通貨システムが模索されたとして解説した。

また、千野氏は「法定通貨もビットコインも、価値を支えるのは“信頼”である」と強調。貨幣の歴史を紐解きながら、「信じる力」が価値を維持する根本だと説いた。

さらに、ビットコインの構造的な特徴として、発行上限(2,100万枚)によるインフレ抑制や、改ざんが極めて難しいブロックチェーン技術の信頼性についても解説。匿名性と透明性のバランス、そして犯罪利用の誤解など、一般に抱かれがちなネガティブなイメージについても丁寧に触れ説明を行なっていた。

Binance Academy 2

Web3.0と社会、そして未来へ

講義最終盤では、現在各国で検討されているCBDC(中央銀行デジタル通貨)や、NFT(非代替性トークン)・DeFi(分散型金融)などにも言及。特にNFTについては「デジタルアートやコレクションだけでなく、ホテル利用券やワインなど“実際に使えるNFT”が増えている」と紹介し、Web3.0技術が現実社会に結び付き始めていることを示した。

最後に千野氏は、Binance JapanがPayPayと提携した背景に触れ、「既存の金融とブロックチェーンの世界を橋渡しする取り組み」だと説明。年内にはBinance JapanのサービスとしてPayPayマネーを通じたビットコイン取引の実装が予定されており、「これからはWeb3.0と日常生活が自然に融合していく時代が来る」と語った。

講義の締めくくりでは、「正しい知識を持つことが、テクノロジーと上手に付き合う第一歩」と学生たちに呼びかけた。世界中で展開されるBinance Academyの取り組みを体験した学生たちは、次世代の金融とインターネットの形を実感する貴重な時間となったのではないだろうか。

Binance Academy 3

学んだ知識を復習「リアルタイムクイズ」

講義が終わった後には、上位入賞者にBinanceのブランドグッズ「Binance Swag」が当たるクイズ大会が行われた。千野氏が講義で話した内容からクイズが出題されたほか、なかには千葉工業大学の学生たちに向けた内容なども盛り込まれ、会場は賑わいをみせた。

Binance Academy 4
Binance Academy 5

鋭い質問が飛び交ったQ&Aセッション

クイズの後には、学生たちから多数の質問が寄せられ、千野氏が回答するQ&Aセッションが行われた。

Binance Academy 6

ここでは特に印象的であった内容を紹介する。

Q1. PayPayとの連携でどんなことができるのか?

A.まだ具体的には言えないことも多いものの、ステーブルコインに関連した取り組みで大きな可能性がある。信託型のステーブルコインを活用すれば、現在PayPayが制限を受けている「1回あたり100万円まで」という取引上限を超え、高額決済や資産取引にも対応できる未来がみえてくる。

Q2. Binance JapanでUSDCの取り扱い予定は?

A. 取り扱う予定はあり、「そう遠くない将来に発表できる」と思う。暗号資産とは別のライセンスが必要なため、正式な認可が下り次第、発表する予定。

Q3. なぜ販売所のスプレッド(売買価格差)は高いのか?

A. 日本の暗号資産取引所には「販売所」と「取引所」という2種類の取引サービスがあるが、「取引所」は特に初心者にとってハードルが高い。そのため、簡単に売買が行えるサービスとして「販売所」の需要がある。スプレッドの適正がどれくらいなのかというのはわからないところだが、現状を鑑みた個人の見解だと、日本のユーザーは「最初に口座を開設した取引所から移らない」傾向が強く、そして多くのユーザーがそこまでスプレッドを気にしていないことも要因だと思う。Binance Japanでは極力スプレッドが大きくならないように挑戦をしていきたい。

Q4. なぜ海外の大手取引所(KrakenやCoinbase)は日本市場から撤退したのか?

A. 1番の理由は採算が取れないから。日本の投資家は一度使い始めた取引所を変えない傾向があり、広告やキャンペーンを打っても新規ユーザーが増えにくい構造がある。Binanceはすでに海外で完成した技術や仕組みを活用できるため、低コストで日本市場に最適化できる強みがある。

 

Q5. PayPayとの提携で、暗号資産を預けて利息(リワード)を得る仕組みはできるか?

A. まさにそのような方向性を目指している。PayPayにはポイント運用などすでに投資要素があり、Binanceと連携することでより多様な運用・ステーキングの選択肢を提供できる可能性がある。また、利回り商品やDeFi的な仕組みを取り入れ、使わない資産を有効活用できるようにしていきたい。

学生たちにとって貴重な学びの場に

イベントは学生同士の交流会を経て終了した。暗号資産やWeb3.0に触れたことがない学生も多く、貴重な学びの場となったことだろう。

今回参加した学生は、千葉工大在籍生を中心に50名以上が集まった。特に1・2年生の参加が多く、将来を踏まえWeb3.0への興味関心が高い学生が集まった印象だ。

今回行われた「Binance Academy出張授業」は、2025年10月〜2026年5月の期間に全国7都市で開催する取り組みの一環で行われた。

今後もこれからの社会を担う若い世代に向けて幅広くWeb3.0に関する正しい知識を届ける活動を行なっていくものとみられ、この取り組みから業界を牽引する次世代リーダーの創出に期待したい。

画像:Iolite編集部

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