「資金決済法モデル」から「金商法モデル」へ

2025/12/13 10:00
八木 紀彰
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「資金決済法モデル」から「金商法モデル」へ

日本の暗号資産を巡る規制制度が大きな転換点を迎えている。

金融審議会に設置された暗号資産制度ワーキング・グループ(WG)は、暗号資産を従来の資金決済法中心の枠組みから、金融商品取引法(以下、金商法)ベースの規律へと段階的に移行させる方向性を示した。

これは暗号資産を「決済手段」ではなく、「金融インフラの一部」として再定義する試みであり、日本市場の成熟を象徴する動きといえるだろう。

今回の議論は、単なる規制強化ではなく、暗号資産市場が拡大し投資対象としての性格を強めるなかで、利用者保護と市場の健全性をどう両立させるかという、より本質的な問いに向き合った結果ともいえるかもしれない。

なぜ金商法なのか

日本の暗号資産規制は2017年の資金決済法改正以降、「世界で最も厳しい」と評されながらも、安全性を軸に制度整備を進めてきた。しかし市場の拡大とともに、暗号資産は決済用途よりも投資・資産形成の文脈で扱われる比重が高まっている現状がある。

価格変動リスク、不公正取引、誤情報の拡散、さらにはインサイダー的な取引行為など、従来の枠組みでは十分にカバーしきれない課題が顕在化した。こうした状況を踏まえ、暗号資産を証券市場に近い規律の下で整理する必要性が高まった結果が、金商法モデルへの移行という形で収まりつつあるのだ。

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