
AIはどこまで“仕事”を奪うのか──
この問いはこれまで、主に知的労働の領域で語られてきた。しかし、足元で起きている変化は、それとは質が異なる。AIはもはや「考える」だけでなく、「実行する」主体へと移行し始めているのではないか。
2.2億人以上のユーザーを抱えるTrust Walletは、AIエージェントがオンチェーン取引を直接実行できる「Trust Wallet Agent Kit(TWAK)」を公開した。
従来のAIが「情報を整理し、提案する存在」だったのに対し、TWAKではスワップ、送金、つみたて、指値注文といった実際の取引をAIが代行する。いわば「思考レイヤー」から「実行レイヤー」への進化といえる。
さらに、完全自動で取引を行うエージェントウォレットモードと、人間の承認を挟むWalletConnectモードの2つを用意することで、利便性と自己管理のバランスも確保している。
これは、DeFiにおける複雑な操作をAIが肩代わりすることで、「インターフェースそのものが消える」可能性を示唆しているのだろう。
この動きは単発のプロダクト進化ではない。すでに複数のリサーチ会社が、AIエージェントによる商取引の爆発的拡大を予測している。
たとえばリサーチ会社の米Gartnerは、「2028年までにB2B購買の90%がAIエージェントによって処理される」と予測しており、2030年に向けて人が検索し、比較し、クリックするというプロセス自体が急速に置き換わっていくという見立てだ。
a16zも同様に、「オープンエージェント型コマース」が広告モデルを根底から変える可能性を論じている。従来のインターネットは“人間の注意”を巡る競争だったが、エージェント時代は“アルゴリズム同士の最適化”へと移行する。
ここで重要になるのは、「どのUIが優れているか」ではなく、「どのエージェントに選ばれるか」という競争軸だ。