米国の暗号資産規制が、いよいよ「時間切れ」という現実に直面している。上院で審議中の「Clarity Act」は、2026年5月の成立を逃せば、その後の政治スケジュールにより2027年まで停滞する可能性が高いとされている。なぜここまで「期限」が意識されるのか。そこには単なる条文の是非を超えた、「利回りは誰のものか」という金融の根源的な問いが潜んでいる。
争点は利回り、ステーブルコインの本質を巡る攻防
Clarity Actの最大の論点は、ステーブルコイン保有に対する「受動的利回り」の禁止である。すなわち、ただ保有しているだけで利息が付与される仕組みを禁じる一方、決済や利用に紐付くインセンティブ(報酬)は許容するという整理だ。
この一見テクニカルな区分けが大きな対立を生んでいる理由はシンプルだ。利回りこそが、金融における「価値の配分」そのものだからである。
2026年4月には妥協案を受け、米Coinbaseのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏が法案成立を支持する姿勢に転じたと報じられているが、当初、この条項に強く反発し、一時は法案支持を撤回した。同社の2025年ステーブルコイン関連収益は約13.5億ドル、総収益の約19%に達したとされ、利回り制限は同社の収益構造に直接影響する。
一方で、銀行業界は真逆の立場を取る。預金がステーブルコインへ流出することを防ぎたい銀行業界にとって、規制強化は歓迎すべき「防波堤」だ。JP Morganのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏と、Coinbaseのアームストロング氏。この2人の対立は、新旧勢力による「利害のゼロサムゲーム」を象徴している。