アーサー・ヘイズの戦術的撤退

2026/06/06 10:00
八木 紀彰
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アーサー・ヘイズの戦術的撤退
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暗号資産ヘッジファンドMaelstromのCIO(最高投資責任者)であり、BitMEXの共同創業者としても知られるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が、保有していたHYPE及びNEARのポジションをすべて手放したことが明らかになった。

オンチェーンデータの追跡によれば、同氏に関連するウォレットは247,334HYPE(約1,802万ドル相当)をFlowdeskへ転送し、中央集権型取引所へ入金。この大口デポジットが引き金となり、両銘柄の価格を押し下げる結果となった。

ヘイズ氏がこれまでの強硬な強気姿勢から一転、売却に踏み切った根拠としてあげたのは、主に3つのマクロ要因である。第1に中東紛争の継続に伴うエネルギー価格の高騰と、それに起因するグローバルなインフレ再燃のリスク。第2に、今夏から2026年第3四半期初頭にかけて予定されているSpaceXやAnthropic、OpenAIといった巨大AI企業3社のIPO(新規株式公開)による伝統・デジタル市場からの流動性の吸い上げ。そして第3に、2026年11月の米国中間選挙を控え、トランプ(Donald Trump)大統領が有権者の不安を背景に「反AI」のポピュリズムへと舵を切る政治的テールリスクである。

しかし、これは同氏の完全な市場退場を意味しない。ヘイズ氏は、急速なAIの社会実装がもたらす信用崩壊と、それに伴う主要中央銀行による前例のない規模のドル流動性再注入を見据えており、ビットコインが2026年までに75万ドルから100万ドル規模へ高騰する本格的な強気相場への伏線であると位置づけている。その前段階として、同氏は代替的なAIプロキシとしてWorldcoin(WLD)への戦略的な配置転換を公表した。

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