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飯塚市&chaintopeインタビュー
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金融・経済

福岡県飯塚市&chaintope独占インタビュー 国内屈指のIT研究要地で進める新産業創出の未来

Shogo Kurobe
2024/01/29

国内屈指のIT研究要地である飯塚市が
産学官で見据えるブロックチェーン活用の道筋

ブロックチェーン活用に積極的な姿勢を打ち出す福岡県飯塚市そして同市と取り組みを進めるchaintopeが見据える今後の展望とは?

——飯塚市でWeb3.0を活用する利点及び意義をお聞かせください。また、現在進めている取り組みなどがあれば教えてください。

大隈友加(以下、大隈):飯塚市には九州工業大学情報工学部、近畿大学産業理工学部の2つの理工系学部を中心に、研究機関やIT系企業、エンジニアが集積しています。

これらの優秀な人材や知的資産を活かし、20年前から情報産業都市を目指して新産業創出に取り組んできましたが、近年ではブロックチェーンに携わる有数の研究者やエンジニアが飯塚市に複数在籍し、産学官連携のもとWeb3.0の活用推進が図られることに利点を感じています。

また、現在、人材育成にも力を入れています。福岡県及びchaintope社と共同でブロックチェーンに特化した「B3」という研修会を開催しており、ブロックチェーン技術を学ぶ機会を創出しています。

正田英樹(以下、正田):近畿大学産業理工学部の山崎重一郎教授を中心に2015年から勉強会が実施されてきたのですが、これをきっかけにいくつかのスタートアップが生まれました。こうした事例も踏まえ、飯塚市はいわばブロックチェーン研究の要地であり、エンジニア育成の拠点になっています。

最近、九州では半導体の盛り上がりが熊本県を中心としてあります。AIも盛り上がっていて、ブロックチェーンとあわせて興味を持つ学生が増えており、実際に研究が行われています。特にブロックチェーンを使った社会貢献を目指す学生が多いですね。


官民ともにブロックチェーンを活用した公的証明書電子交付に前向き。ブロックチェーンを核とした新産業創出エコシステムをともに形成へ。

——chaintope社を含む民間4社と飯塚市はブロックチェーンを活用した公的証明書電子交付の実用化に関する実証実験を行いましたが、この取り組みを通じて得られた収穫と課題についてお聞かせください。

大隈:この実証実験は2020年と2022年の2回にわたって行いました。1回目はダミーデータを用いた住民票、2回目は実データを用いた所得証明書の電子交付について検証しました。

この実証実験を通じてブロックチェーンを用いたトラストサービスが確立され、紙の証明書と同様の信頼性を確保できたものと考えており、大きな成果を感じています。一方、受け取った証明書の提出先が電子交付に対応できるかなど、大きな課題もあります。

システムを社会広範に浸透させることと同時に、法規制の改正も必要になります。それでも、飯塚市としては将来的に電子交付の仕組みを導入したいという想いがありますし、実現に向け取り組みを進めていく考えです。

正田:ブロックチェーンを活用することで、マイナンバーを使う場合、また必要ない場合の双方での証明書発行を検証しました。取り組みを通じて、技術的には実現可能であることを実証できた点は良かったです。

しかし、それに対する課題も浮上しました。その1つがインターフェイスの難しさです。さまざまな人に使ってもらうには使いやすいインターフェイスが求められますが、厳密さを追求するとどうしても難しくなってしまいます。

また、大隈さんからもあったように法規制の面で課題があります。技術的には実現可能であることを実証できました ので、飯塚市を始めほかの地域でも同様の取り組みを行えるよう準備をしていきます。

——飯塚市がなぜブロックチェーンに注目するのかお聞かせください。また、今後ブロックチェーンやWeb3.0に関する取り組みをどのように推進・実現していくのか教えてください。

大隈:飯塚市では2019年にエンジニアの心身の健康維持と創造性の発揮を助けることを目的とした“ブロックチェーンストリート構想”がスタートしました。

ブロックチェーンは「インターネット以来の技術革新」ともいわれるように、次世代の社会インフラになる可能性を秘めています。ブロッ クチェーンは多様な技術との連携が可能であり産業振興にも期待できるものと我々は考えています。

取り組みとしては、2022年にブロックチェーンを活用した新産業創出を掲げる「飯塚市産学官産業共創ビジョン」を5ヵ年計画として発表させていただきました。この計画では、ブロックチェーンの裾野の拡大や技術者の育成を目的に小中高生における授業の実施や、ビジネス開発支援などを盛り込んでいます。

今後はブロックチェーンを核とした新産業創出エコシステムの形成を目指して取り組みを進めていきます。


——chaintope社としての今後の展開、目標、意気込み等をお聞かせください。

正田:我々はタピルス(Tapyrus)というパブリックブロックチェーンを開発しており、今後は地域や環境への貢献をトークンで表現したいと思っています。環境に貢献したら、あるいは人の役に立ったらインセンティブが発生するというトークンエコノミーを実現したいですね。

循環経済を“サーキュラーエコノミー”といいますが、それにトークンを加えた、“サーキュラートークンエコノミー”をつくりたいです。現時点では海洋文化、海の環境に貢献している人にトークンを発行するモデルを作れたらと考えています。


飯塚市ブロックチェーン推進宣言

飯塚市は2021年に「飯塚市ブロックチェーン推進宣言」を打ち出した。産学官を結集し、情報技術に優れた知財が集まる飯塚市の特徴とブロックチェーンを活用したまちづくりを推進していく。


ブロックチェーンを活用した公的証明書電子交付の実用化に向け、chaintopeを始めとした4社と飯塚市が実証実験を実施。2度にわたる実証実験で、技術的に実現可能であることやあらたな課題を確認した。



Profile

正田 英樹(Hideki Shoda)
(株)chaintope代表取締役 CEO
九州工業大学情報工学部卒。同学卒業直後、1999年7月、ハウインターナショナル創業。ソフトウェア開発に従事する傍ら、「アジアのシリコンバレーe-ZUKA(飯塚)」をスローガンに、地方創生事業に取り組む。2015年頃よりブロックチェーンの研究開発を開始し早期から社会実装に向けた取り組みに注力。2016年12月、ブロック チェーンに特化して事業を進めるべくchaintopeを設立。

大隈 友加(Tomoka Ookuma)
飯塚市経済部経済政策推進室産学振興担当 主幹
1994年事務職として入庁。市民課、生涯学習課、情報管理課、健康増進課(現:医療保険課)、人事課を経て、2021年より現職。



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